7月1日、岸田文雄首相(写真)は、ロシアのプーチン大統領が石油・天然ガス開発事業「サハリン2」の権益などを引き継ぐ新たな事業体を設立する大統領令に署名したことに関連し、契約内容の要求がどのようなものになるか注視する考えを示した。写真は5月、ローマで撮影(2022年 ロイター/Guglielmo Mangiapane)

サハリン2大統領令、岸田首相「LNGすぐ止まらず」 安定供給に万全

[東京 1日 ロイター] – 岸田文雄首相は1日、ロシアのプーチン大統領が石油・天然ガス開発事業「サハリン2」の権益などを引き継ぐ新たな事業体を設立する大統領令に署名したことに関連し、契約内容の要求がどのようなものになるか注視する考えを示しながらも、液化天然ガス(LNG)がすぐに止まることはないとの認識を示した。萩生田光一経産相は、安定供給確保に万全を期す考えを強調した。

遊説先の沖縄県で記者団の質問に答えた岸田首相は、大統領令署名によって「すぐに液化天然ガス(LNG)が止まるものではない」とした上で、「契約内容がどのようなものを求められることになるのか注視しなければならないし、事業者ともしっかり意思疎通を図って対応を考えていかなければならない」と語った。

萩生田経産相も省内で急きょ会見を開き「日本企業の権益の扱いやLNG輸入への影響は現在精査をしている最中。現地でも情報収集している」と述べた。その上で「電力やガスの安定供給の観点からも、サハリン2からのLNG供給の重要性は何ら変わるものではない」と強調した。

今回の大統領令は「接収とは異なる」とし、「新しく設立するロシア法人にサハリンエネジー社の全ての権利・義務を譲渡した上で、既存の株主に新法人に移行するかの同意を説いているもの」と説明。日本政府の対応については「引き続き日本企業や関係省庁ともよく相談しながら慎重に検討している」と述べるにとどめた。

仮にサハリン2からLNG輸入ができなくなった時の代替措置について萩生田経産相は「今後さまざまな不測の事態に備え、万全の措置を取る必要がある」と指摘。すでに業者は2―3週間のLNG在庫を有しているほか、事業者間での融通も準備している。また、中長期的にはロシア以外のLNG生産国やスポット市場からの代替調達などあらゆる手段を通じてエネルギーの安定供給確保に万全を尽くすほか、ロシアへのエネルギー依存度の低減を図る方針を改めて示した。

関連記事
国民民主党の榛葉幹事長は、与党が検討している国民一律の現金給付案を厳しく批判した。同案は1人当たり5万円から10万円の給付が検討されている。榛葉氏はこれを「バラマキ」と位置づけ、「集めた税金を給付するなら最初から取らなければいい」と指摘した。
与野党から消費税の減税を求める声が高まっている中、加藤財務相や林官房長官は11日、消費税の減税に否定的な考えを示した。
トランプ米大統領が関税拡大を進める中、スペインのサンチェス首相は4月9日からベトナムと中国を訪問する。日本では公明党の斉藤鉄夫代表が4月22日から25日にかけて中国を訪問する予定だ。
国民民主党の玉木雄一郎代表らは10日、首相官邸で林芳正官房長官と会談し、消費税を時限的に5%に引き下げることなどを盛り込んだ党の経済対策を申し入れた。
​政府与党は、所得制限を設けず1人あたり4万~5万円の給付を行う案を検討しており、財源確保のために今年度の補正予算案を編成し、6月の国会会期末までの成立を目指すとされている。