東洋医学における「水」は単なる水ではなく、体内の水分、血液、リンパ液、汗、尿などの老廃物などをふくむ体液全般のことを指します。
「どんな水を飲むか」が重要
人間の体を構成する物質のうち、60%〜70%は水分です。私たちは毎日、水分を適切に補給しなければ生命を維持できません。
私たちは生命を維持するために必要な水分を口から摂っています。しかし、水を飲んでいれば良いということではなく、「どんな水を飲むか」が重要なのです。
では、私たちが口にすべき「水」とは、どのようなものでしょうか。それは、飲んだ水分が体に吸収されるために不可欠な電解質(イオン)を適度に含んだ水です。
電解質は、水に溶けると電気を通す物質です。人が水と一緒に口にする機会の多い電解質には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルがあります。
体液のなかに含まれる電解質は、細胞内の水分量および体液の濃度をコントロールする重要な役割を果たしています。つまり、この電解質が不足すると、摂取した水分を細胞に取り込んで保存することができなくなるのです。
加えて、お茶やコーヒーには利尿作用があるため、これらを多く飲むと頻尿になり、必要な水分が体に吸収される前に体外に排出されてしまいます。
そのため、せっかく水分を摂っているのに体内の細胞が水分補給できていません。このままでは、気づかないうちに慢性的な脱水状態に陥ってしまう危険性があるのです。
ご注意ください「女性の脱水」
月経のある女性は脱水状態になりやすいので、ご注意ください。
赤い体液である経血も「体から出る水分」です。そのため生理中の女性は、気づかないうちに脱水状態になりやすくなっています。
厳密に言うと、初潮を迎える約1年前から女性の体は水分が不足しやすくなっています。月経が始まって1年目以後の女性は「生理中はいつも脱水状態にある」と考えて、こまめに水分補給をするようにしましょう。
もちろん生理中に体から失われる水分は、出血だけでなく、通常の排せつや発汗で失われる水分も含みます。つまり生理が来たら、普段摂取している水分に加えて、出血と同等量の水分を加えて補給しなければなりません。
出産後の水分補給も十分に
今の医療では、女性が出産時に緊急事態が発生した場合、静脈点滴が行われることがほとんどです。そのため、「出産時の大量出血で失われた水分は、点滴で補っている」と言ってもよいでしょう。
さて、無事に出産を終え、愛する我が子を抱いて授乳するお母さんも、水分をきちんと摂るようにしてほしいのです。
母乳を毎日たくさん与えることも、お母さんの脱水状態を招きやすくします。
赤ちゃんが成長するにつれて授乳量も増えていきますし、通常の月経が再開すると、さらに脱水の心配が大きくなります。
また、一時的とはいえ、体が過度に脱水状態になることで母乳が出なくなる場合もあります。
これは、お母さんのせいではないので、母乳が出なくてもご自分を責める必要はありません。まずは焦らず、気持ちを落ち着けて、助産婦さんや看護師さんに相談してください。
母乳が出ないことは、体からの重要な警告です。その原因が何であるかを確かめるとともに、特に出産後は、母体の健康に十分気をつけながら水分補給に努めましょう。
(次稿に続く)
(翻訳編集・鳥飼聡)
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