(前稿より続く)
相手を赦す
事故から1年半が過ぎ、ピエールさんは事故を起こしたドライバーの裁判に出席しました。
「彼を見た時、ただ彼に対する愛と、憐憫の情しかありませんでした。心から彼に同情しました」と話すピエールさん。加害者は明らかにアルコール依存症で、大きな人生の問題を抱えていたからです。
ピエールさんは裁判所で被害者供述書を読み上げ、皆の前でドライバーを赦しました。「あなたに対する恨みはないことを、分かってほしい」と告げ、「あなたを愛しています」と結びました。
(回復後のピエールさんの画像はこちらから)
ドライバーは被告席を出ると、胸に手をあててピエールさんに近づきました。彼が謝罪の言葉を述べた後、二人は「美しい言葉」を交わし、傍聴席には感動的な空気が流れました。弁護士は、こんな光景は見た事がないと語りました。
ドライバーを赦したことは、自分の回復に繋がったと語るピエールさん。
「赦しは自分のためだけじゃなく、相手のためだけでもありません」
「赦しは、それを見たすべての人々のためにあるのです」
やり残した課題を終わらせる
目覚ましい回復を遂げたピエールさんは、再びサイクリングに出かけました。2年前、ゴール目前で退場を余儀なくされた道を完走すると決めたのです。
彼は事故の現場へ向かいました。意外なことに、彼の心は安らかでした。翌日、彼は事故の地点から1キロ手前に戻り、自転車に乗ってゴールを目指しました。
「優雅に美しく、感謝の心を持ちながら笑顔で事故現場を通過することができました。『さあ行こう、これを終わらせよう』と私は言いました」
彼の経験談はSNSで大きな反響を呼びました。多くの人が自分の「課題」を完成させるために、努力し続ける勇気を持ったそうです。
長い試練を経た後、彼は目覚ましく変化しました。課題を先延ばしせず、より深く人生を理解し、自分を成長させることに時間を費やすようになりました。やるべきことがあると感じ、新たな挑戦を探しているそうです。彼にとって、人生には大きな意味があるのです。
「恐れずに、思う存分生きようと思っています」とピエールさん。
苦しみや災難を克服し、自分のゴールに到達する道は必ずある。ピエールさんは力強く、そう語っています。
(翻訳編集・郭丹丹)
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