台湾人俳優、中国で不動産96件差し押さえられる 「共同富裕」のターゲットか
中国の規制当局は、台湾人の俳優夫婦、林瑞陽氏(61)と張庭氏(51)が経営する電子商取引企業「上海達爾威貿易有限公司(以下、達爾威)」が違法なマルチ商法を行っているとして、同社が保有する不動産96件を差し押さえた。専門家は、中国指導部が掲げる「共同富裕」政策の下で、芸能人や富豪らは取り締まりの標的にされていると指摘した。
中国メディアによると、河北省石家庄市裕華区の市場監督管理局は昨年6月、消費者の通報を受け、違法なマルチ商法の疑いがあるとして達爾威に対し捜査を開始した。当局は同年12月、同社の資金6億元(約120億円)を凍結した。
資金が凍結された後、林氏夫婦はSNS微博(ウェイボー)上に「政府の指導に従って法を守り、(企業)経営を行い、課税を納付してきた」「(当局の捜査に)協力する」などと投稿した。しかし、両氏の微博アカウントはまもなく当局によってブロックされた。
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