赤いタイル張りのドームを持つサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂。(Shutterstock)
赤いタイル張りのドームを持つサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂。(Shutterstock)

未だ解明されていない サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂の八角ドーム

フィレンツェと言えば、多くの人は恐らく赤レンガのドームと白い大理石の壮大な建築物を思い浮かべるでしょう。それはフィレンツェのシンボルであるサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂です。

しかし、1418年までは、すでに100年以上の歴史を持つこの豪華な大聖堂にはドームがなく、天井の部分は開いていたのです!では、どうして天井部分を完成させなかったのでしょうか。それは、これほど大きな天井をどのように作るか、誰もわからなかったからです。

当時、大聖堂のドームの部分は未完成のまま、仮の木枠しかありませんでした。当時の技術では、直径43.7メートル、高さ52メートル、そして、八角形の丈夫なドームを築き上げることは不可能だったのです。そのため、1419年、フィレンツェの政府は市民から建築計画を募集しました。その中で、フィリッポ・ブルネレスキの提案が注目されました。

 

サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂のゴシック様式の外観。(Shutterstock)

当時、ブルネレスキは既に有名な金細工師、彫刻家で、1401年には彫刻のコンクールに参加し、その結果、優れた彫刻家ロレンツォ・ギベルティに負けましたが、その後、彼はローマの旅行で古代ローマの建築物に強い興味を持つようになり、深く研究し始めたのです。そのため、今回の大聖堂の天井の提案について、ブルネレスキは自信満々で、合理的かつ大胆な提案を出したのです。それは自ら支え合う巨大なドームを建築することです。

それからの十数年の間、フィレンツェの人々はドームの建築の一部始終を目のあたりにしました。工匠たちは神技のように、木の仮枠を全く使わずに、レンガだけを使って徐々に八角形のドームを築き上げていきました。

 

ドーム部分の内側。(Shutterstock)

ドームは全く崩れ落ちず、その上、ブルネレスキはこのドームを包み込むように、外側に一回り大きなドームを建てたのです。二層のドーム間の隙間は、通行することができ、また、一番頂上まで登れる梯子も設置されたのです。

では、具体的にどのように建てられたのでしょうか?現在、大聖堂の内壁から見ると、レンガは「人」文字のように交互に重ね合わせられているのがわかります。しかし、レンガの角度の計算から全体の構造、そして、つなぎ目まで、今日もまだ解明されておらず、いまだ謎のままです。ブルネレスキは最後までドームの建設方法を公開しませんでした。

ドームは1436年にようやく完成し、今も世界最大のレンガ積み建築のドームです。ブルネレスキは16年間かけて、独特で革新的な技術を使い、当時、不可能とされたドームの建築を完成させ、ルネサンス期の始まりを象徴するシンボルを残しました。ブルネレスキはルネサンスと人文主義の象徴であり、「人間性の再興をめざした」代表人物でもあります。

(作者・史多華/翻訳編集・千里)

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