トロイの木馬のお話(4)
この男は海の上のギリシャ軍に少しも驚きませんでした。すべてが彼のコントロール下にあるように思えたからです。その時、壁の隙間から松明(たいまつ)を取り出し、松脂(まつやに)の入った籠の中に慎重に投げ入れました。すると籠から赤い炎が立ち上り、壁の向こうの広場と男の顔を照らしました。
その男の目は赤く、顔は赤く腫れ、傷だらけで、左耳は半分に切られていました。そうです、この男はシノンです。
この頃になると、ギリシャ軍船の明かりがはっきりと見えるようになりました。シノンは急いで壁を降りて木馬に近づき、短刀の背で前脚を三度叩くと、すぐに馬の中から鎧のぶつかり合う音が聞こえてきました。すると、馬の胸の板がギシギシと音を立てて開き、中から金色に輝く兜をかぶった兵士が出てきました。
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