古典の味わい

【古典の味わい】貞観政要 11

貞観の初年の頃、太宗が侍臣に向かってこう言われた。

「君主としての道は、まず人民が安心して生きられるようにすることだ。もしも、重税を課すなどして人民を苦しめ、君主が贅沢三昧をするならば、それは自分の足の肉を喰って自分の腹に入れるようなものだ。満腹になったときには、その身が死んでしまう」

「天下を安泰に治めるには、まず君主が自身を正すことだ。上に立つ君主が正しくありながら、下々が乱れた例はない。うまい料理ばかりを食べ、音曲や女色に耽溺していては、莫大な費用がかかり政務の妨げとなるうえ、人民の生活も乱してしまう」

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