ヒエロニムス・ボス『快楽の園』(Shutterstock)

初期ルネサンス天才画家 ヒエロニムス・ボスの絵画の魅力 

ヒエロニムス・ボス(1450-1516)はルネサンス期のネーデルラントの画家で、イタリアの芸術家たちのように人体の美に拘っていないものの、上の画像の絵画、彼の代表作「快楽の園」に見られるように、彼のほぼすべての作品は、想像力にあふれたユニークなものとなっており、同時にいくらかの哲理も含まれています。例えば彼の1490年の作品である「死神と守銭奴」は道徳を語る寓話の絵などはそうです。

(ヒエロニムス・ボス「死神と守銭奴」の画像はこちらから)

生涯、富を追求してきた人が死ぬ間際になっても財宝を手放せず、死んでも死にきれません。しかし、時が来れば、誰も逆らえず、結局この人は鎧も、武器も持てず、素っ裸でベッドに横たわるしかないのです。この光景は、まるで人々に、「素っ裸でこの世に生まれたが、死ぬ時は何も持っていけない」ことを教えているようです。

▶ 続きを読む
関連記事
道端の目立たないランタナ(五色梅)の花序から、生命の秩序と古人が説いた「礼」の真髄を見出す心温まる随筆。自然のなかに宿る調和と、立ち止まることの大切さを静かに伝えます
AIが真偽を曖昧にする現代、孔子の「巧言令色」の警鐘を重ね、日本の職人技に宿る「人の時間と心」に注目。機械には決して偽造できない、手仕事が生み出す究極のリアリティと真の信頼(信)の本質に迫る一編
泥から名器へと生まれ変わる宋代磁器の製作過程を通して、人生の試練の意味を紐解く随想文。過酷な窯の烈火をくぐり抜けてこそ本物の輝きと気骨が宿るように、逆境こそが人を美しく磨き上げるのだと静かに語りかけます
深夜の地下鉄で起きたささやかな善行を手がかりに、日本の「恥の文化」と心の中の「浄土」を読み解く思索録。「お天道様が見ている」という天への畏敬や儒教の教えを通じ、現代人が見失いつつある道徳の根源を問いかける
空に浮かぶ雲の移ろいや詩歌・禅の教えを通じて、天地の大きな秩序と生命のあり方を説く一文。俗世の執着や悩みを離れ、ふと空を見上げて自らの歩みを見つめ直したくなる思索的なエッセイ