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コロナ克服の新段階「ワクチン一辺倒」を脱却するとき

欧州の疫学の学術雑誌『European Journal of Epidemiology』に掲載された最新の研究によると、新型コロナウイルス感染症の発生件数とワクチン接種率とは直接関係がないとして、研究者は「ワクチン一辺倒の防疫措置を見直すべきだ」と呼びかけています。

 

ワクチン接種と感染拡大に「明確な関係ない」

同研究によると「ワクチン接種率と感染症流行状況との間に、明確な関係はない」と言います。

これまで、世界各国で猛威を振るった新型コロナウイルスについて、「感染者の急増はワクチン未接種者の割合に関係がある」と考えられてきました。

しかし、米ハーバード大学とペンシルベニア州立大学の研究者たちが68カ国のコロナウイルス感染症について調査研究をおこなった結果、各国におけるワクチン接種者数の変化と追加症例数との間に「明確な関係は見られなかった」と結論づけています。

この68カ国では、ワクチン接種率が高いか低いかにかかわらず、感染の急増が見られました。特に顕著だったのは、国民の60%以上がワクチンを完全に接種していながら、人口100万人当たりの感染者数が最も多かったイスラエルです。

元アメリカ陸軍研究所ウイルス学科実験室主任の林暁旭博士は、「仮にワクチン接種が疫病の抑制に十分有効ならば、多くの国ではワクチン接種率が高くなるにつれて、感染者数が減少するはずです。

ところが、この68カ国のデータを分析してみると、そのような傾向はなく、やや逆の傾向さえ見られる」 と説明しています。

また同調査では、米国の2947の郡を対象に、2週間の感染者数とワクチン接種率を分析したところ、ワクチン接種者が多くなるほど感染者が減るという「希望的観測」に合致する変化は見られなかったとしています。

米国でワクチンの完全接種人口の割合が最も高い(84.3%~99.9%)上位5郡のうち、4郡は米疾病予防管理センター(CDC)から「重度感染地域」に分類されています。

一方、CDCが「軽度感染地域」に分類した57郡のうち、26%の郡が、ワクチンを完全に接種した人口の割合が20%未満でした。

 

さらなる変異株の出現も想定するべき

9月に『European Journal of Epidemiology』に発表されたこの研究は、以下の4つのポイントに言及しています。

1、ワクチンを「防疫の唯一の手段」とする考えを見直す必要がある。特に、デルタ株や今後の変異種が出現する可能性を考慮した場合、重要である。

2、ワクチン接種率を高めるだけでなく、他の薬剤および「薬剤によらない予防」を考慮する必要がある。薬剤によらない予防とは、従来のソーシャルディスタンスを保つことや、こまめに手を洗うことなども含む。

3、ワクチン接種は重症化をある程度は予防できる。

しかし、CDCの報告によると、今年1月から5月までの全接種者の入院率は1%から9%に、死亡率は0%から15.1%に増加している。

4、ワクチン未接種者に対して差別扱いや圧力をかけることは、益よりも害のほうが大きい。

 

「自身のもつ免疫力」を向上させる

また、感染症研究の専門家は、今後の変異ウイルスに対抗するため、ワクチン接種だけではなく、「人間自身がもつ免疫力を高める方法を探さなければならない」と説いています。

日本をふくむ世界では6月中旬から始まった感染の第5波が、3カ月を経て9月中旬にようやく減少に転じました。

このような傾向について、欧洲のウイルス学と伝染病の専門家であり、バイオテクノロジー会社の首席科学者である董宇紅博士は、「全世界で現れた第1波から第5波までの疫病発生情況には、1つのパターンがあるようだ」と指摘しています。

董博士の言う「パターン」とは、各波の開始からピークを経て転換点に至るまで、すべて「約3カ月の時間」を要している点です。

このような現象について董博士は、「そのパターンは、大規模かつ世界的なワクチン接種によって大きく変化してはいない。疫病の発生は、人々のワクチン接種などの措置に関わらず、ウイルス自身がもつ特徴と何らかの関係があるのではないか」として、これは科学者たちのさらなる研究が必要だと言います。

董博士は最後に、「防疫はワクチンだけに頼るのではなく、自身がもつ免疫力を向上させることが肝心。

人体のエネルギーレベルを強化することから始めてこそ、根本的に新型コロナウイルスを克服できる」と述べました。

(文・蘇冠米/翻訳編集・鳥飼聡)

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