衆院解散14日・19日公示・31日総選挙、コロナ状況考慮=岸田首相
[東京 4日 ロイター] – 岸田文雄首相は4日、新内閣発足後の会見で、大規模なコロナ・経済対策を打ち出すためにも早期に国民の信任を得たいとして、今月21日に任期満了を迎える衆議院の解散・総選挙に関して、14日解散・19日公示・31日投開票という日程を明言した。これまで政府・与党内で検討されてきた投票日を1週間前倒しすることについて、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いていることも一因だと認めた。
<対象者限定の現金給付、与党としっかり議論>
岸田首相は新型コロナ対策は喫緊かつ最優先の課題だと強調し、コロナ対策の全体像を示せるよう、担当3閣僚に指示したと語った。
衆院選の投開票日を当初検討されていた日程よりも前倒しする主な理由は「できるだけ早く国民の信任を得るため」と説明。一方で、感染者数の減少など「コロナの状況も念頭に置いた」と付け加えた。
コロナ対策として、大きな影響を受ける人々を対象とした現金給付について「与党としっかり議論して具体的金額を確定したい」と述べた。
<新しい資本主義実現会議を設置>最も重点を置く政策として、コロナ対策、新しい資本主義、外交・安保を挙げた。
新しい資本主義を実現するため、成長と分配が車の両輪になると指摘。成長政策として、人工知能や量子などに大胆に投資する「科学技術立国の実現」、地方と都市との差を縮める「デジタル田園都市国家構想」、戦略物資の確保や技術流出の防止を実現する「経済安全保障」、勤労者皆保険などに向けて取り組む「人生100年時代の不安解消」を掲げた。
分配政策としては、看護師など現場で働く人の所得向上に向けた給与の「公的価格」の見直し、「財政単年度主義」の弊害是正などを掲げた。
ポストコロナ時代の経済社会を議論するため「新しい資本主義実現会議」を設置する。
格差是正の観点から総裁選期間中に打ち出した、株式の売却益や配当への金融所得課税の強化について、「分配政策の一つ」と指摘する一方、「分配政策はそれだけでない」として、賃上げ実施企業への優遇税制や下請けいじめ防止などさまざまな政策手段を列挙した。
<核廃絶、米大統領と共に何ができるか考えたい>
被爆地広島出身の首相として「核兵器のない世界に向け尽力する」と述べた。米国の核の傘に依存するため日本が未参加の核兵器禁止条約についてバイデン米大統領と議論する可能性を問われ、「バイデン大統領も大統領選挙戦で核なき世界を目指すと述べており、意思疎通する中で何ができるか考えたい」と答えた。
北朝鮮による拉致問題を巡り自らが外相時代に具体的成果が出なかったことを「反省」するとし、解決のため「金正恩委員長(朝鮮労働党総書記)と直接向きあう」と強調したが、会談実現の具体的道筋は示さなかった。
*写真を差し替えました。
(竹本能文)