中国少数民族の人権問題を調べる米研究者、カザフに5年入国禁止
中国少数民族に対する人権問題を調査する、ロシア系米国人学者は自身のFacebookで、カザフスタンへの入国を5年間禁止されていると書き込んだ。中国共産党の少数民族への抑圧政策は、中央アジア諸国の行政措置にも延伸している可能性がある。
ウイグル、カザフ、キルギス系など新疆ウイグル自治区少数民族の人権侵害をテーマにした研究活動を続けるエフゲニー・ブーニン(Yevgeny Bunin)氏は、キルギスタンにおける1か月間の滞在を経て、隣国のカザフスタンへの渡航を試みた。
首都アルマトイの空港に到着後、入国管理局の職員から「理由は不明だが、あなたは5年間の入国禁止処分を受けている」と告げられ、外務省に相談することを勧められたという。ブーニン氏は、「おめでとう、カザフスタン。恐ろしい権威主義の道を突き進んでいる」と皮肉を書いた。
カザフスタン外務省はコメントを出していない。
ブーニン氏は、2019年と2020年にも、ウズベキスタンへの入国を拒否されたことがある。
ロシアと米国の二重国籍を持つブーニン氏は新疆ウイグル自治区を拠点とし、中国当局による少数民族に対する抑圧の数千の事例を記録したウェブサイト「新疆被害者データベース」(shahit.biz)を運営している。計数工学を専攻しているブーニン氏は長年新疆に住んでおり、「(少数民族への弾圧が)私自身と多くの知人に影響を与えたため、すべてを放棄して被害状況のデータベース化に取り組んでいる」という。
新疆ウイグル自治区の少数民族に対して人道問題に抵触する監視や収容を行っている中国共産党は、中央アジアの主要な貿易相手である。中央アジア諸国の当局や国営メディアは、中国からの報復を恐れ、人権問題への言及を避けている。
被害状況を公開するブーニン氏によれば、新疆における拘束はウイグル人のみならず、漢民族を含む他のすべての民族が影響を受けているという。また、研究者や人権団体、政府などはデータベースを通じて、新疆の人権状況を調査・監視でき、中国当局の責任を追及できる資料になると説明している。
(翻訳編集・佐渡道世)