世界をリードする半導体ファウンドリであるUMCのロバート・ツァオ会長(呉旻洲/大紀元)

中国進出は「後悔しかない」…脱中国の半導体大手UMC、台湾で再び躍進

台湾の半導体大手・聯華電子UMC)は中国投資から抜け出して以降、記録的な株価上昇が続いている。台湾メディアグループの財信傳媒の取締役で評論家の謝金河(しゃ・きんが)氏は、本格的な台湾への再投資で同大手・台湾積体電路製造(TSMC)と肩を並べ、台湾の半導体競争力を高めることができると評した。

UMCが発表した2021年4~6月期決算によれば、純利益は前年同期比79%増の119億台湾ドル(約470億円)と大幅に増加。売上高は15%増の509億台湾ドルと、四半期ベースで過去最高を記録した。

謝金河氏は9月3日、自身のFacebookにUMCの変遷史をまとめて投稿した。「UMCの2021年上半期の株価は50台湾ドル前後だったが、7月から上昇して現在は70台湾ドルになった。前回は2001年前だ」と書いた。

2001年以前、半導体受託製造世界最大手であるTSMCとUMCの株価と収益はほぼ同程度だった。しかしそれ以降、両社は別々の経営方針を取った。TSMCが自社ビジネスに集中して新しい生産プロセスを追求するいっぽう、UMCは集積回路(IC)設計会社をいくつも作り、親会社であるUMCから切り離した。

UMC会長兼取締役の曹興誠氏は、蘇州に半導体メーカーの和艦科技を設立し、出資や受注を渡すなどして成長に協力していた。謝氏によれば、UMCの「蘇州における投資は(台湾で)論争の的」となり、同社の中国事業に影を落とした。

2005年、台湾新竹検察はUMCによる和艦科技の投資が対中投資規制に違反するとして、企業会計法違反および背任罪で曹氏を起訴した。この事案で、曹氏は取締役を辞任し、経営から身を引いた。

その後も、UMCは中国事業を継続させたがトラブルは続く。2014年、廈門市政府と提携して事業展開したものの損失を被った。UMCは中国国有企業の半導体メーカー・晋華集成電路(JHICC)と取引していたが、2017年、UMCが保有していた米マイクロン・テクノロジーの半導体技術をJHICCに無断移転したとして、米司法省に起訴された。2020年、UMCは営業秘密の侵害を認め、米司法省に63億円を支払うことで和解が成立した

曹氏は2020年、財信傳媒が提供する雑誌「財訊」の取材のなかで、UMCの中国事業を振り返り「もしやり直せるなら、中国で工場の建設を手伝わなければよかった」と後悔の念を口にした。

技術移転をめぐる判決後、曹会長は新たに「脱中国化」の声明を発表し、「UMCは今後、大規模な新工場建設のための投資を行わず、成熟した製造業に集中して粗利益率を高める」と発表した。それ以降、UMCの経営が一変し、粗利益率を11%から30%まで押し上げた。

謝氏は、これまで同社のEPS(1株当たりの当期純利益)が1台湾ドルを超えることはほとんどなかったが、昨年のEPSは2.35台湾ドル、今年の上半期は1.82台湾ドルに達した。さらに、今年度のEPSは3~4台湾ドルになるとの予想を示した。現在、UMCは時価総額8694億ドルで、台湾の企業規模では7位につけている。

世界市場では半導体不足が続いている。謝氏は、UMCとTSMCの時価総額にはまだ大きな差があるものの、UMCが成長することで、台湾半導体産業の競争力が強くなるとして、UMCの決断を評価した。

(翻訳編集・蘇文悦)

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