2017年1月19日、ロサンゼルスで開催されたパラマウント・ピクチャーズの「トリプルX:再起動」のプレミアに出席したクリス・ウー (ANGELA WEISS/AFP via Getty Images)

中国、エンタメ業界の締め付け強化 億万長者も「明日は刑務所入りかも」

中国共産党当局は数か月前から、ネット業界を対象に独占禁止法やデータ安全の分野において取り締まりを強化している。そして今、オンラインの有名人ファンクラブが新たな標的となっている。

中国国家インターネット情報弁公室(CAC)は8月27日、有名人ファンの「無秩序な」文化を取り締まりをすると発表した。現在、ファングッズの販売やファンクラブのソーシャルメディアアカウント、芸能番組にも規制がかけられている。

また、有名人ファンクラブでは、噂や悪口、有名人のスキャンダルなど、当局が「有害な情報」と判断したものを拡散した場合、対抗措置を講じると表明した。

今回の措置はネット分野における「是正」キャンペーンの一環であり、15万件の「有害な情報」と、ルール違反を犯したとされる5000以上のアカウントやグループが閉鎖された。

先月、中国系カナダ人のポップ歌手アイドル、クリス・ウー(呉亦凡)さんが性的暴行容疑で逮捕されたことを受け、呉さんのファングループは、ソーシャルメディア上で彼を擁護した。後にこれらのファンのアカウントのほとんどは、呉さんのアカウントとともに、閉鎖された。

中国のストリーミングプラットフォーム「愛奇芸(iQiyi)」は芸能人やファン文化を1400億元(約2兆3778億円)の価値があると推定する。中国当局によるへの取り締まり強化は、この「アイドル経済」に冷や水を浴びせることになる。

ひとたび当局の標的になれば、市場での価値を回復させるのは極めて難しい。このため、中国の企業やアーティストたちは指弾を避けるため、共産党の規制を支持する声明を発表している。

政治工作

ビデオゲーム、映画、テレビ番組、音楽など、中国共産党の意向に沿わないとみなされたものは、厳しい規制を受ける。最近、アリババや滴滴出行(Didi)のようなハイテク企業も厳しい経済統制を受けた。

CACは有名人を標的にするほか、個人がソーシャルメディアなどで情報発信するセルフメディア業界への取り締まりも強化した。CACは彼らを、「経済政策を歪んだ形で解釈している」「ネット上の情報の広がりを著しく阻害している」と非難した。

何度も政治犯として投獄された経験を持つ中国のジャーナリスト・高瑜氏は、中国のエンターテインメント業界への締め付けは新たな言論統制の動きだと指摘する。

「中国共産党は片手に銃、片手にペンを持っている。このようにして、彼らは権力を掌握し、その支配を強固なものにしようとしている」と高氏は大紀元に語った。

最高指導者としての3期目をにらむ習近平国家主席にとって、このような措置は来年の第20回全国党大会に向けて、政治的な成果をアピールするための施策であると、高氏は指摘する。

また高氏は、国の「共同富裕を実現すること」を野望としている習近平氏は、「4つの大きな山(負担の大きい教育、医療、住宅、高齢者介護)」を覆したいと考えていると語る。

「実現できるかどうかは別にして、これが彼の政策の方向性であり、政治的な目玉になることを望んでいるのだ」

富裕層への圧迫

習近平氏は、国の「共同富裕」を確保するために過剰な富の規制を開始し、この一年間、大規模な取り締まりが実行されてきた。

習氏が「行き過ぎた高額所得」の抑制を呼びかけた翌日、中国のインターネットサービス大手、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)は、環境・社会活動に500億元(76億8000万ドル)を投じると発表した。中国の電子商取引大手、拼多多は24日、前四半期の利益3億7200万ドル(約410億円)相当を農村開発プロジェクトに寄付すると表明した。

ニューヨークに亡命した中国の政治雑誌『北京の春』の名誉編集長・胡平氏は、「彼ら(高所得者)は災難から逃れるために寄付をしている」と指摘した。中国当局は、彼らが従うことを拒否した場合、「より高い代償を払わせるだろう」と付け加えた。

高氏は、エンターテイメント界には多くの資金があり中国当局の標的になるのはごく当たり前のことだという。「1つの番組に出演するだけで、人々が一生かけても得られないものを手にすることができる」と語り、多くの支持者を持つ著名人を処罰することで、習氏は選挙戦の厳しさをアピールすることができると述べた。

これらの措置は、長期的には持続しないと中国の元公務員でソーシャルメディアのパーソナリティを務めるChen氏は指摘する。

「誰も安心することはできないだろう」「今日、彼らは億万長者だが、明日は刑務所入りかもしれない」と同氏は大紀元にコメントした。「共同富裕というよりは、共通の貧困にしかならない」

(翻訳編集・山中蓮夏)

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