ある日、こんな光景を電車の中で見ました。
ご年配の女性に連れられて、元気よく乗車してきたのは3歳ぐらいの男の子でした。
おばあちゃんと一緒のお出かけが余程嬉しいのでしょう。男の子は電車の中で興奮気味に、これから向かう遊園地の話をしています。
すると突然、ぶつけたわけでもないのに男の子の鼻から、とろりと血が流れ落ちました。
男の子は自分の鼻から出た赤い色にびっくりして、車内にひびくような大声を上げて泣き出しました。
「大丈夫よ。ばあばがついているから」。
さすが子育てのベテランである「ばあば」は、そう言って泣き叫ぶ男の子を落ち着かせ、ティッシュで手早く拭き取りました。
上体を起こしたまま数分ほど安静にさせていたら、鼻血も止まったようです。
鼻孔にティッシュを詰めた男の子は、もとの元気モードにけろりと戻りました。
日本では、昭和の半ば頃まで「子供が鼻血を出したら、首の後ろを手刀でたたけ」と言われていました。
これは全くの迷信で、効き目がないばかりか適切な対処法を遠ざけるという意味で弊害のある方法だったと言わなければなりません。
子供が鼻血を出しやすい4つの理由
子供が鼻血を出しやすい理由は、4つあると言います。
一つには、子供は鼻孔に指を入れて、ほじくるのが好きなのです。
意味のある行動ではなく、手遊びのようなものですが、回数が多かったり、爪がのびていたりすると、すぐに鼻孔壁の細い血管を傷つけてしまいます。
二つ目は、鼻に異物を入れて遊ぶことも、子供の行動の特徴として挙げられます。
たまにピーナッツを鼻孔に入れて取れなくなり、お母さんが慌てて病院へ連れていくことがあります。
子供は好奇心のかたまりなので、お母さんは叱らないであげてください。
三つ目は、小児アレルギーのある子供の場合、つらい鼻炎で鼻づまりになると、つい鼻孔に指を入れるなどして鼻血を招くことがあります。
四つ目の理由として、ごく稀なケースですが、出血が止まりにくい凝固障害の体質である場合は年齢に関係なく鼻血が出やすくなります。
突然の子供の鼻血 適切な対処法はこれ
さて、子供が鼻血を出した場合の対処法について、改めてまとめることにしましょう。
ただし前提として、明らかな外傷による鼻血ではなく、いつの間にか出てきたような「無意識の鼻血」に限ります。自転車で転倒して顔面を強打したような場合は、鼻血だけでなく他にも大怪我をしているはずですので、もちろんそちらの処置が最優先になります。
子供が突然鼻血を出した場合、まずは子供がおびえないように、優しく言葉をかけてあげましょう。
それから、人差し指と親指で子供の鼻をつまんで、適度な強さで圧迫止血をします。
上体は寝かさず、起こしたままにして座らせます。
鼻血が口腔内にまわったら、飲み込ませずに口から出すように話します。
その間も子供の顔を見ながら親や周囲の大人が「安心の笑顔」を示し続けることが肝要です。
ひとまず鼻血が収まったら、必要に応じて子供の鼻の上にアイスバッグや冷たいタオルをあてます。
鼻血が止まったばかりの血管は非常に弱くなっています。子供には強く鼻をかまないように話してあげましょう。
なお、大人の鼻血は重大な病気と関係がある場合も考えられるので、上記のような応急処置だけでなく、その後の経過に十分ご注意ください。
(翻訳編集・鳥飼聡)
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