中共ウイルス(新型コロナウイルス)の変異種として世界的に猛威を振るう、デルタ株ウイルス。各国は、まさに緊急の対策を迫られています。
すでに伝えられているように、デルタ株ウイルスは感染力が非常に強いとされています。さらに、健康な若い人に発症した場合、心臓血管系の合併症を伴うことで、より重篤な症状を引き起こす可能性もあるため、十分な注意が必要です。
豪州ではデルタ株ウイルスによる新たな流行が起こり、若者たちにも大きな影響を与えています。豪州のABCテレビによると、ニューサウスウェールズ州における感染確定者の多くは20~39歳の比較的若い世代で、なかにはその合併症で急死した人もいます。死亡した若い患者に、心臓疾患の病歴はありませんでした。
豪州で最高クラスの医療機関である張任謙心臓研究所の学者であるジェイソン・コヴァチッチ氏は、「デルタ株ウイルスに感染すると、心筋炎や血栓などの問題を引き起こす可能性がある」と指摘しています。
重症になると、心臓機能を著しく低下させて、心不全、不整脈、または血栓が心臓や肺の血管をふさいで突然死を引き起こすこともあります。「デルタ株ウイルスは、大きな病歴のない健康な若い人を、致命的な心臓合併症のリスクにさらす可能性がある」とコヴァチッチ氏は言います。
実は、変異株になる以前のウイルスでも、心筋炎を起こす例は少なくなかったのです。
7月に米国で行われた研究では、昨年4月から今年3月までの間に新型コロナウイルスに感染した若年患者の症例について、元から心臓に疾患のある患者を除いて分析したところ、新型コロナウイルスに感染した若年男性では, 100万例あたり約450例に心筋炎が認められました。
台大臨床医学教授、救急医学部主治医の李建璋氏は「早期の新型コロナウイルスおよびデルタ株ウイルス、いずれのウイルスに関わらず、心筋炎および血栓との相関性はある」と指摘しています。
これまでの感染者の突然死は、主に静脈に血栓が形成され、肺塞栓が起きて死亡したと考えられています。しかし現在では、感染者の動脈にも血栓ができていることがわかっており、静脈および動脈だけでなく、あらゆる部位で血栓は形成されます。例えば、動脈の血栓が原因で、急性心筋梗塞や脳卒中になることもあります。
李建璋氏によると、若者はもともとウイルス感染で心筋炎を発症しやすく、その確率は高齢者、成人より高いといいます。また、デルタ株ウイルス自体の感染力が特に強いため、発症率および重症化する割合が高くなっています。
デルタ株ウイルスによる心血管障害が若年層に多く発症した背景には、この2つの原因があります。
男性は女性よりも心筋炎を起こしやすいとされますが、これについて新光病院心臓内科の陳冠任医師は、「若い女性は、女性ホルモンの保護を受けているため」とみています。臨床上、若い女性の心臓血管は比較的健康ですが、女性患者のうち、閉経後の女性に心臓血管関係の疾患が多くなる傾向が見られるといいます。
結論としては、「若い人でもデルタ株は容易に感染する」ことと、感染した場合に「心臓血管や血栓による合併症のリスクが、病歴の有無に関わらず、高くなる」ことが言えます。
再度のご注意として、若い方々も、ぜひ今一度「自分と周囲の人への感染防止」を意識していただければと思います。
(文・蘇冠米/翻訳編集・鳥飼聡)
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