中国企業の海外事業で人権侵害告発が多発=国際NGO報告書
[11日 ロイター] – 国際非政府組織(NGO)「ビジネスと人権リソースセンター」は11日公表の報告書で、中国は海外投資で責任ある投資家と見なされようとしているが、実際には海外事業に関連した人権侵害が多いと指摘した。特に目立つのが鉱業分野だとした。
報告書によると、2013-20年に海外事業に携わる中国企業に起こされた人権侵害の告発は679件。業種別では金属鉱業が最多の236件で、このうち世界第2の産銅国ペルーや、スズやレアアースの主要供給国であるミャンマーでの事例が目立つ。
中国は金属の消費で世界首位だが、国内資源では需要を十分に満たせず、政府は同国企業に対し、海外資産購入を通じて供給を確保するよう促している。再生可能エネルギーへの進出も強めており、中国主導の巨大経済圏構想「一帯一路」のグリーンエネルギー版の展開も公約に掲げる。
報告書によると、中国企業の海外鉱業事業に対する告発の3分の1以上が関連するのが、中南米やパプアニューギニアでの地域社会と中国系多国籍鉱業大手との間で長期化している係争案件。パプアニューギニアでの金やニッケルやコバルトの生産事業では中国国営企業が関わる。
鉱業分野に次いで中国企業による人権侵害の告発が多いのは建設分野。ラオスの鉄道プロジェクトに関連して地元住民の生計が失われた事例などがある。
化石燃料関連は118件、再生可能エネルギー関連は水力発電事業を中心に87件。
国別ではミャンマーが97件と最も多かった。
報告書によると中国の鉱業資源などの輸出入当局は問題防止に努めようとしているが、資源のサプライチェーンに関わる企業の規範順守意識に問題があるという。
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