夏草や兵(つはもの)どもが夢のあと(奥の細道)
歌意「夏草が生い繁る、この奥州の地へ来ている。ああ、ここで往時の武者たちが激しい戦いを繰り広げたことも、もはや夢の跡のようだなあ」。
松尾芭蕉が『奥の細道』の旅で、平泉の高館(たかだち)に至ったのは旧暦5月中旬でした。
兄・頼朝の追撃を受けた源義経が、最後の戦いを見せた後、壮絶な自刃を遂げたその場所に立つ芭蕉。杜甫「春望」の名句「国破山河在、城春草木深」を引いて、「国破れて山河在り、城春にして草青みたり」と詠じます。
この有名な一節の後に続く芭蕉の姿が、私は大好きです。「笠うち敷きて時のうつるまで泪(なみだ)を落し侍りぬ」。
芭蕉は懐古の人です。杜甫とも、義経とも、芭蕉は直に対話できるのでしょう。
(聡)
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