2021年7月6日、アストラゼネカ製のワクチン接種を受ける女性(Sonny Tumbelaka/AFP via Getty Images)

中国シノバックのワクチンの抗体価 独ビオンテックの10分の1=医学誌

中国製薬大手の科興控股生物技術(シノバック)の新型コロナウイルスワクチンを接種した人の抗体価は、独バイオ医薬品会社ビオンテックのワクチンを接種した人と比べて、10分の1程度しか抗体が作られていないことがわかった。

この研究は、香港の病院や診療所で採取された1442個のサンプルをもとに、香港大学によって行われた。権威ある医学誌The Lancet Microbe誌が15日、研究結果を掲載した。

同研究では、ビオンテック製のワクチンを2回接種したあとの1カ月間の平均抗体価は269中和抗体価だった。いっぽうシノバック製ワクチンを2回摂取したあとは27抗体価で、ビオンテックの約10分の1だった。また、ビオンテック製ワクチンの1回目の接種では抗体価は約49であったのに対し、シノバックの抗体価は約7だった。

中国で開発されたワクチンの抗体価の低さや有効性の低さは、世界中で報告されている。6月初旬、セルビアで行われた臨床研究では、65歳以上の人の30%が、中国シノファーム製ワクチンを接種しても、抗体ができなかったことが明らかになっている。

シノバック製のワクチン接種を取り入れた国では、ここ数カ月、中共ウイルスの感染者が急増している。バーレーン、チリ、モンゴル、セーシェルは、国民の約50~68%に中国製のワクチン接種を完了しているが、中共ウイルスの感染が最も深刻な国トップ10に入っている。

バーレーンやアラブ首長国連邦など多くの国では、中国製ワクチンの接種を完了した人に、ビオンテック社製のブースター接種(追加接種)を開始した。インドネシアでは米モデルナ製の追加接種、タイでは英国アストラゼネカ製ワクチンの追加接種が行われている。

中国疾病予防コントロールセンター(CCDC)の高福主任は3月、中国製の新型コロナウイルスワクチンの有効性の低さを公然と認め、異なる技術で製造されたワクチンを導入することを検討していると述べた。

安全性や有効性の懸念が急増するなか、自らの影響力拡大を狙う中国共産党政権はワクチン外交を積極的に展開している。

ウクライナは6月下旬、中国から新疆ウイグル自治区での人権侵害に対する国連の調査を求める共同声明への支持を撤回するよう迫られ、それに応じなければ中国製のコロナウイルスワクチンを提供しないと脅された。

中国製コロナワクチンを大量に購入しているハンガリーは、中国政権による香港や新疆ウイグル自治区での人権侵害を非難するEU決議にも拒否権を行使している。

台湾は2月、バイオンテック社とワクチン購入契約の締結直前の段階まで進んでいたが、中国の妨害により成立できなくなった。これに対し、日本政府は7月までに、3度に渡り約340万回分の英アストラゼネカのワクチンを台湾に寄贈している。

(翻訳編集・蓮夏)

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