「Defense Acquisition in Russia and China(ロシアと中国の防衛装備品の購入)」と題する報告書の中で、ロシアと中国の兵器開発の特徴について分析した(Feng Li/Getty Images)

技術の盗用と腐敗が横行 中国軍の発展は困難=米ランド研究所

米軍事シンクタンク、ランド研究所15日の最新報告によると、中国は他国から軍事技術を盗用し、見かけ上の発展を遂げたが、ずさんな管理と腐敗の横行で世界トップレベルの軍事技術に追いつくことは困難だと指摘した。

「Defense Acquisition in Russia and China(ロシアと中国の防衛装備品の購入」と題する報告書の中で、ロシアと中国の兵器開発の特徴について分析した。

同報告書は「中国が武器開発において、世界最高水準との差を縮めている」とし、「これは同国の人材招致プロジェクトや外国技術の盗用などの措置と密接に関連している。中国の研究開発は他国の軍事技術の盗用で成り立っている」と指摘した。

「外国の知的財産の盗用は、短期的には中国の競争力を高めた反面、レベルの向上を阻害している。中国は武器開発の先進国との間に数年の差がある」とその現状を分析した。

外国の軍事技術盗用、人材を国に呼び戻して技術開発を発展

報告書は、外国の知的財産権の盗用への依存は、中国の兵器開発能力の向上を妨げる根本的な問題であるとも指摘した。

「コピーモデルは、逆行分析(外国製品からその製造過程を逆算)を助長し、基礎研究を犠牲にしている」

「これまで、中国は積極的に留学生を帰国させていた。高給などの優遇措置により、2016年には留学生の約80%が帰国している」

「しかし、これらの若者はシステム統合など大型プロジェクトを管理する経験や、ハイエンド技術を開発するためのスキルを欠いている」と指摘した。

また、報告書は「盗用では問題を克服できないと認識した後、中国は企業の合併や外国技術の買収などを通じて管理経験を獲得しようとした」

「全体的に、中国は現在、弾道ミサイルの分野で長らく克服できなかった一部の問題を解決したが、航空機などの分野では、過去数十年の盗用によって入手した技術に頼っており、それほどの進歩はなかった」とも指摘した。

最先端の研究開発活動は全て「国営企業」の手中に

報告書はまた、「中国はイノベーションや国際的な先進レベルとの差を縮めることで困難に直面している。ハイエンドチップ、潜水艦の消音、航空機のエンジン製造など、多くの分野で依然として突破できていない」

「中国の最先端の研究開発活動は、政府が支持する国有企業に集中するという問題も生じている。これらの巨大企業はさらに大きくなり、これは中国が主張する市場経済の発展とは相反している」

「世界で最も収益の高い22の防衛企業のうち、米国企業が9社と最多。そのすべてが民間企業である。一方、中国企業は8社と米国に遜色ないが、いずれも国有企業である」と指摘した。

軍中腐敗横行、品質監督不足

報告書は、不十分な品質検査と横行する腐敗の問題も指摘した。

「軍需企業で品質管理を担当する現役軍人は、入隊したばかりの新卒者。彼らは最低限の技術訓練を受けているものの、専門知識が不足しているため、品質検査はしばしば不十分だ」

「その上、中国の政府部門では腐敗現象がはびこっている」という。

17期(2007~12年)中央軍事委員会(軍の最高指導機関)では、当時の胡錦濤軍事委員会主席、習近平副主席を除けば、郭伯雄副主席が腐敗で逮捕され、徐才厚副主席も腐敗で逮捕されたが、その後獄中死を遂げた。軍事委員会の委員である梁光烈、李繼耐、廖錫龍、吳勝利、常萬全各氏に関するスキャンダルが報じられていた。

18期(2012~17年)中央軍事委員会では、房峰輝・前統合参謀部参謀長は贈収賄などの罪で無期懲役の判決を受けた。張陽・前政治工作部主任は腐敗の疑いで調査を受けているとき、自殺した。

(翻訳編集・李凌)

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