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周の武王の王后である姜太公の娘 賢明な名声を千年の時をこえて受継ぐ

姜太公釣魚、願者上鈎」(姜太公に釣られるものは、自ら進んでかかったものだ)という典故は、傑出した才覚と遠大な計略を持ちながら、国を治めて安らかにする才能も備える姜太公(太公望)が、周の文王との出会いの物語です。

しかし、姜太公は補佐大臣であるだけでなく、周の武王の義父でもあり、武王の王后は姜太公の娘、邑姜でした。

邑姜が周の武王と結婚したときは、武王が殷の紂王を討つために兵を挙げて南北で戦い、紂王の政権を征服している重要な時期でした。邑姜が王后としての義務を果たしました。邑姜の才能について、武王は諸侯たちと会談した際の『泰誓』で、「予有乱臣十人,同心同德。」と述べています。彼には混乱を収める10人の大臣を持っていて、この10人が一心同体であれば世界を制することができるということです。彼らは、周公旦、召公奭、姜太公、毕公、荣公、太颠、闳夭、散宜生、南宫适と邑姜であり、10人の中で唯一の女性は、武王の王后である邑姜でした。

子供の教育において、邑姜は胎教の早い段階から始めました。武王と結婚した彼女は、1年後に王子の姬诵を出産し、後に周の成王となりました。邑姜は妊娠中、胎教を極めに重視し、立っているときは揺れず倒れず、座っているときは直立して真面目に正座し、一人でいるときはどこにもしゃがまず、たとえ怒っていても人を叱らなかったと歴史の書籍に書かれています。これは、邑姜が偉大な美徳と忍耐力を持った女性であったことを示しています。

姬诵が皇太子になったとき、彼の性質が純粋であること確保するために、邑姜は周公と他の3人の非常に尊敬されている大臣に姬诵の教師になってもらい、それぞれが皇太子の身体的、道徳的、そして知的教育を担当するように頼みました。また、王子健康に成長させるために、彼の周囲から性格の不正な人々を追い出し、国から善行の良い人、親孝行な人、学問のある人を選んで一緒に暮らしていました。これにより、皇太子は毎日、正しいものを見て、正しい言葉を聞き、正しい道に沿って成長することができました。王子の成長のために、邑姜は最大限の努力を果たしました。

周の文王や武王のように、邑姜は神様に非常に畏敬の念を抱いていました。唐叔虞は周の武王と邑姜のあいだの子として生まれました。邑姜がかれを身ごもったとき、夢に天帝が現れ、「わたしはその子を虞と名づけるよう命じる。その子に唐の地を与え、参星に子孫を養育させよう」と言いました。子が生まれると、その手に「虞」の形の掌紋があったため、その子に虞と命名され、叔虞とも言いました。

武王が死去し、ただ13歳であった成王が即位し、叔父の周公旦(魯の開祖)が政務を補佐しました。周の成王八年(前1035年),周の諸侯である唐国(唐は黄河と汾水の東にある百里四方の国であった)に反乱が起こって、河東地域における周王室の政権を脅かしました。

22年の治世の後、成王は病死し、その子の姫釗(康王)が王位に就きました。邑姜は悲しみに耐え、前皇太后の立場で康王に、大臣を敬い、民を愛することを教えました。康王はその治世において、周の成王の政策を継承し、東夷の反乱を鎮め、北の土地を征服し、西の鬼方(きほう、古代中国(殷時代)に存在したとされる小国であった)と戦い、国の統治力をさらに強めました。 周の成王と周の康王の時代は、世の中が安定していて、40年以上も刑罰が当たらなかったことから、「成康之治」と呼ばれています。その中には、間違いなく邑姜の功績があります。

中国山西省太原市の南西にある晋祠には、邑姜を祀った宋代の建物「聖母の殿」があり、そこにある聖母像は、今から1000年近く前の北宋天聖時代に彫られたものだと言われ、千年近く前のものです。これは、邑姜の賢明な名声が、年月を経ても消えていないことを証明しています。

翻訳編集・啓凡

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