ロシア国防省、英駆逐艦に警告射撃 英側は否定 乗船のBBC記者が記録「頭上にロシア機20機」
ロシア国防省は23日、クリミア沖を航行していた英駆逐艦に対して、国境警備隊の船から警告射撃を行い、爆撃機から爆撃を行なったと発表した。しかし、英国政府はロシア側の説明を否定し、射撃の事実はないとした。英駆逐艦に乗っていたBBC記者は、接近するロシア船から発せられた無線の音声や、遠くで響く発砲音などを記録していた。
BBC記者によれば、英駆逐艦はクリミア沿岸から約12マイル(19km)を航行した。英側は、国際的に認められたルートでウクライナの領海を通過し、「航行の自由」を主張したと説明している。しかし、BBCは、ロシアの侵略行為を否定するために、意図的に接近したのではないかと報じた。すでに英軍乗船員は緊急の事態に備えていたという。
乗船していたBBC記者は、英艦長は20機以上のロシア軍用機を確認しており、2隻のロシア沿岸警備隊の船舶が尾行していると報じた。駆逐艦と船との距離はわずか100メートルほどで、ロシア船から「進路を変更しなければ発砲する」と警告を送る無線音声を記録した。記者は、射撃の音が遠くで聞こえたが、英駆逐艦は標的の範囲外だったとみている。
英国国防省は声明で、「ロシア軍は黒海で砲撃演習を行っており、その活動を海事関係者に事前に警告していたと考えている」とコメントした。
ロシア側は一連の対応について、英駆逐艦が「ロシアの領海に侵入したため」と説明している。ロシアは、併合したクリミア半島および周辺海域を自国領域と主張しているが、英国や北大西洋条約機構(NATO)は認めていない。
(佐渡道世)
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