バングラデシュ、100人以上の活動家が中国投資の石炭発電中止を要請
21の国から100人以上の活動家が、中国政府に書簡を送り、バングラデシュにおける石炭火力発電所への投資を停止するよう求めた。書簡によると、中国政府は2月、環境汚染が懸念される計画は支援しないと現地政府に伝えているが、約束は履行されておらず、計画は停止していない。
2016年、バングラデシュは中国が大半を出資する石炭発電計画「バンシュカリ・S・アラム・プロジェクト(Banshkhali S. Alam project)」を承認した。2023年完成予定で、1320MWを発電するという。
活動家たちによれば、「中国大使館が2月、バングラディシュ財務省宛てに書簡を送っており『中国側は、もはや炭鉱や石炭火力発電など高汚染度及びエネルギーを多く消費する事業への投資は検討しない』と伝えた」という。しかし、計画が停止している様子はなく、今回、改めて活動家たちが抗議文書をしたためた。
書簡は、中国が完全に発電所計画から撤退することを求めている。また、計画をめぐって起きた現地での人権侵害の疑いや、環境影響評価に含まれる虚偽の情報の調査を要求している。
石炭発電をめぐり地域住民に嫌がらせ
この計画は当初から、物議を醸す数々の事件が起きた。警察による抗議者への不当な強制鎮圧や、賃金・労働問題などの疑惑により問題が相次いだという。
「2016年に計画開始以来、この発電所周辺の3つの異なる事件で、12人が命を落とし、100人以上が負傷し、6000人以上の労働者や村人に対して嫌がらせが起きた」と書簡には書かれている。「地元の人々は、この計画は呪いだと思っている。命が失われただけでなく、少なくとも1万人がこの計画のために家や農地を失って影響を受けている」と状況をつづった。
メヘディ氏は、74団体から129人の活動家が署名した書簡が、中国の中国商務部の王文濤部長にメールで送られたことを確認した。ダッカの中国大使館にもコピーを送る予定だという。
この発電所を管理するSアラム・グループによると、プロジェクトの費用は24億9000万ドル(約2730億円)だが、そのうちの7割は中国の投資で賄われる。
発電所は、山東電力建設株式会社(SEPCOIII)が建設を請け負う。3つの環境保護団体によると、この発電所は中国の中央政府系企業である「中国電力建設(PowerChina)」の子会社が管理している。
発電所の最高財務責任者であるエバダット・ホセイン・ブイヤン(Ebadat Hossain Bhuiyan)氏は、この書簡のことは知らないとしながらも、内容に異議を唱えた。「発電所が環境を汚染することや人権を侵害することなどが書かれていたとしたら、それはまったくの誤りだ」と、ラジオ・フリー・アジア系列メディアBenarNewsに語った。
ダッカの中国大使館は、BenarNewsからのコメントの要請にすぐには応じなかった。
電力・エネルギー・鉱物資源省の一部門であるパワーセルの局長、モハマド・ホセイン(Mohammad Hossain)氏も、この手紙のことは知らなかったとし、5年前の同様の取り組みと比較した。 「地元の開発プロジェクトへの投資の中止を求める書簡を外国に送ることは、苛立たしいことだ」とBenarNewsに語った。
2016年、複数の非政府組織(NGO)が、世界最大のマングローブ林であり、ユネスコの世界遺産であるスンダルバンスから14キロメートル以内にランパル発電所とオリオン石炭発電所を建設する計画について、国連機関の世界遺産委員会に請願書を送っている。
書簡によれば、中国の石炭発電計画は地域に住む人々の健康に「極めて有害」であるという。複数の環境団体は、バングラデシュ政府の環境報告書は、大気環境への影響に関する情報には欠陥があると指摘。実際の汚染レベルの何倍も低い値を予測しているとした。
(翻訳・小蓮)