ワシントンにあるホワイトハウス(Photo by Alex Wong/Getty Images)

米議員、台湾防衛法案を再提出 中国の侵攻を阻止する軍事力の維持を求める

中国共産党は台湾およびインド太平洋地域において好戦的な態度を強め、世界中で拡張主義を推し進めている。これに警戒心を抱くジョシュ・ホーリー(Joshu Hawley)米上院議員ら複数の議員は16日、中国による台湾侵攻の既成事実化を阻止するため、米軍軍事力の維持を求める「台湾防衛法(Taiwan Defense Act)案」を再提出した。

同法案は最初2020年6月に、ホーリー氏や下院のマイク・ギャラガー(Mike Gallagher)氏ら複数の共和党議員が上下院に提出した。この度、ホーリー氏らが再提出を行う。

同法案を共同提出したジョン・コーニン(John Cornyn)上院議員は、「中国がインド太平洋地域を不安定にし続けている。米軍は同盟国を守り、台湾のような貿易・外交パートナーの防衛に対するコミットメントを守るために、準備しなければならない」と述べている。

ギャラガー議員は、「中国共産党が今後6年以内に台湾に侵攻する可能性があると上級高官が警告している。つまり、私たちは台湾海峡における抑止力を戻すために、緊張感を持つ必要がある」と述べた。「台湾の自由は米国の重要な国家安全保障上の利益であり、台湾防衛法は米国が中国共産党の侵攻に対する拒否能力を整備することを義務付けるものである」と述べた。

米メディアによれば、国防省は台湾防衛に注力する必要性を求められているものの、実際の台湾防衛戦には準備が遅れている。元国防次官補代理のエルブリッジ・コルビー(Elbridge A. Colby)氏は同法案について、「議会から強力な政策策定のシグナルを送り、費用や努力を集中させるものだ」とコメントしている。

また、コルビー氏によれば、米国の従来の両岸政策や戦略的な曖昧さにも抵触せず、合致するものだとした。台湾防衛法案によると「国防総省は攻撃から台湾を防衛する能力を確保しなければならない」と抑止力の強化を定めている。

4月中旬、米政府は日米首脳会談後の共同声明で、日本ほか同盟国やパートナー国と連携して「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調」と記した。台湾に関する同様の文言はG7、NATO、米EUの共同声明にも書き入れられている。コルビー氏は、米国はこうした言葉の裏付けをする必要がある、と付け加えた。

台湾への言及増 米国で高まる関心

米国の関与が明確になるなか、台湾に対する中国の軍事圧力も強まっている。6月6日、米上院議員3人が75万回分の中共ウイルス(新型コロナウイルス)のワクチンを搭載した米軍輸送機に乗って、台北に到着した。数日後に、中国本土側で台湾側に面する福建省南部で中国海軍の水陸両用車を使用した軍事訓練が行われた。16日、台湾の防空識別圏(ADIZ)に中国軍機28機が侵入した。その規模は過去最多となる。

このところ、米国が台湾の防衛に関与していくことを重視する、米議員および高官の発言が増えている。

米国防総省でインド太平洋地域を担当する国防次官補に指名されたラトナー氏は16日、議会の公聴会で、中国は台湾への武力行使の可能性を放棄しておらず、軍事的な威嚇を一層強めていると述べた。そして、有事を防ぐためにも、米国は抑止力を強化する必要があるとした。

米国務省の東アジア・太平洋担当の国務次官補に指名されたダニエル・クリテンブリンク(Daniel Kritenbrink)氏もまた、米台関係の結束を強め、「米国はあらゆる分野で台湾との関係を発展させるべきだ」と議会で述べた。

 

元米国連大使のニッキー・ヘイリー(Nikki Haley)氏は16日、共和党研究委員会の内部会議で、米国は中国に対して「強く」行動しなければならないと主張し、もし北京が台湾を支配すれば、世界中の他の領土を奪うための「自信をつけるだろう」と見解を述べた。

(佐渡道世)

 

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