大紀元エポックタイムズ・ジャパン

【歌の手帳】吉原の太鼓

吉原の太鼓聞こえて更くる夜(よ)をひとり俳句を分類すわれは(正岡子規

歌意「夜も更けると、吉原の遊郭で打つ太鼓の音が、この根岸にある我が庵まで聞こえてくるようだなあ。そんな賑やかな花柳界とは全く関わりなく、一人で俳句の分類をしているよ。この病床の私は」。

明治31年(1898)の作。正岡子規(1867~1902)は、この4年後に病没します。

この一首について、多くの解説書は「吉原の太鼓の音が、根岸まで聞こえている」と説明していますが、これは物理的に絶対聞こえません。吉原の夜の始まりを告げる「見世清掻き(みせすががき)」は、百挺を超える三味線であり、大太鼓ではないのです。

やはり子規の耳は、実音ではなく「心音」の太鼓を聞いているのでしょう。

(聡)

 

(読者の皆様へ)下のコメント欄へ、ご自作の「短歌」「俳句」をお寄せください。歌にまつわるお話も、ぜひお書き添えください。皆様とともに作り上げる、楽しいコーナーにしたいと願っております。なお、狂歌や川柳は、また別の機会とさせていただきます。お待ちしております!

関連記事
寒い季節こそ、ゆったり過ごし心身を整えるチャンス。睡眠や食事、メンタルケアで冬を快適に楽しむ方法をご紹介します。
50年以上前から次世代の食料として研究されてきたオキアミ(プランクトン)。クジラなどの海洋性生物にとっては生存のための原初的な存在だ。そのオキアミからとれるオメガ3が注目されている。本文にあるようにオメガ3は人の健康にとっても有益なものだ。クリルオイルは、オメガ3と抗酸化成分が豊富で人気のある健康補助食品。フィッシュオイルに比べてコストが高い点が難点だが……
仏に対抗しようとした調達が、暗殺未遂や陰謀を重ねた末、地獄に堕ちるまでの報いの物語。
「犬に散歩される」気の毒な飼い主たち、笑っちゃってゴメンの面白動画→
過度な運動や減量で陥りやすい「低エネルギー可用性」。エネルギー不足が体に与える影響とその対策について、専門家のアドバイスを交え解説します。