菅首相、アクイリノ米印太平洋軍司令官と会談 中国による現状変更の試みに反対で一致
6月1日、菅義偉首相は、総理大臣官邸で訪日中のジョン・アクイリノ(John C. Aquilino)米インド太平洋軍司令官と会談した。同氏が4月30日、ハワイ拠点の米インド太平洋軍司令官に就任して以後、日本が初の外遊先だ。
菅首相は冒頭で、アクイリノ司令官の就任に祝意を表し、「インド太平洋軍は極めて重要な役割を担っており、その奉献を高く評価したい」と述べ、「『自由で開かれたインド太平洋』の実現を米国とともに進めていきたい」との旨も述べた。
これに対し、アクイリノ司令官は初外遊先が日本であることは重要だと述べ、「現在のインド太平洋地域における平和・安定は日米同盟がその礎となっている」と強調した。
双方は、インド太平洋地域における平和と安定の重要性を再確認し、東シナ海などの地域において、中国による一方的な現状変更の試みに強く反対することで一致し、北朝鮮問題をめぐって日米が緊密に連携していくことも確認した。
この日、アクイリノ司令官は岸信夫防衛大臣や山崎幸二統合幕僚長を表敬訪問した。米軍機関紙の星条旗新聞によれば、同氏は殉職した日本の軍人に敬意を表した。第二次世界大戦では、米軍は16万1000人、日本軍側は200万人以上が戦死した。
同司令官は日本訪問後、韓国の政府高官と会談し、韓国の安全保障に対する米国の確固たるコミットメントを再確認する予定だ。
前任者であるフィリップ・デビッドソン司令官は、3月9日の上院軍事委員会で、東京の南西約2100キロ先に位置する台湾に、中国は「今後6年以内」に軍事侵攻する可能性があると述べた。アクイリノ司令官は、デビッドソン氏の中国に対する強硬姿勢を維持すると考えられている。
今春に開かれた米上院の就任公聴会で、アクイリノ司令官はインド太平洋地域における中国の影響力に対抗するためには、「太平洋抑止力構想」への資金提供を強化する必要があると述べた。また、中国は「これまで誰も想像していなかった速さ」で核兵器を増産していると警告した。
(蘇文悦)