武漢ウイルス研究所。2020年4月17日撮影(Photo by HECTOR RETAMAL/AFP via Getty Images)

武漢の研究者妻、一昨年12月に「特殊なウイルス」感染で死亡=米元高官

トランプ前政権でウイルス発生源の調査を担当したデビッド・アッシャー(David Asher)氏は5月29日、英紙デイリー・テレグラフに対し、武漢ウイルス研究所のある職員が米諜報機関に、同所研究者の妻が2019年12月に特殊なウイルスに感染し死亡した情報を提供したと明かした。

同氏は「これはウイルスが人から人への感染を示す初期的手がかりになるはずだった。しかし、北京がそれを公表したのは1カ月も後だ。それが感染拡大につながった」と指摘した。

中国当局が公式に伝染病の発生を発表したのは、2020年1月20日だった。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は最近、武漢ウイルス研究所の研究者3人が、2019年11月に病院で治療が必要になるほど体調を崩していたと報じた。この情報は今年1月に発表した米国務省の声明の中に含まれている。

「インフルエンザよりも、武漢ウイルス研究所の研究者らはコロナウイルスに感染していた確率のほうが高い」とアッシャー氏は指摘する。治療を受けた研究員らは7年前に中国雲南省の山奥で見つかった「RaTG13」というウイルスを研究していたという。「彼らがそろって重病にかかる確率はどれほどあるのだろうか」と疑問を投げかけた。

RaTG13ウイルスは、現在のパンデミックを引き起こしたコロナウイルスの遺伝子配列と96%一致している。武漢ウイルス研究所のコウモリウイルスの専門家である石正麗氏が率いる研究チームは、同ウイルスに関する研究論文を発表していた。

しかし、2020年のパンデミック発生後、石氏のチームは新しい論文の中で同ウイルスの名称を密かに変更した。石氏は、名称の変更は、ウイルスの特徴や収集源の特定を容易にするためだと主張した。

中国政府は、武漢ウイルス研究所の研究者が感染したという米側の主張を否定し、同所研究者でコロナウイルスに感染した人は一人もいないと主張した。

米国務省は1月の声明で、中国政府は外部による、武漢ウイルス研究所の研究者への取材と同研究所のコロナウイルス研究記録へのアクセスを妨害したと言及した。

バイデン米大統領は5月26日、ウイルス発生源の解明に向けた追加調査と90日以内の報告を米情報機関に指示した。

バイデン氏は現在、米情報機関は確かな結論を出すには情報が十分でないとし、中国政府に対し、発生源に関する2回目となる調査に政治的な干渉を加えないよう求めた。

(大紀元日本ウェブ編集部)

関連記事
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]