「白髪が増えた」 注意すべき10種の原因
白髪が増える原因は、加齢や遺伝だけとは限りません。疾患の予兆かもしれないので、以下に挙げるような症状が見られたら、ぜひご注意ください。
「異常に長い白髪」10の原因
年齢とともに白髪が目立ってくるのが、一般的な老化現象です。この場合、多くは遺伝子によって決定されているため、人によっては、まだ若いうちから遺伝的に髪が青白い人もいます。その一方で、加齢や遺伝ではなく早期に白髪が現れた場合は、何らかの原因で体が助けを求めている可能性があります。
台湾高雄市にある彭賢礼皮膚科クリニックの主治医・張宏嘉氏は「毛髪を黒くするメラニン色素は、毛包にあるメラノサイトから作られます。メラノサイトの減少や消滅を引き起こす要因は、すべて白髪の原因になります」と言います。そこで「異常に長くて、白くなった髪」について、考えられる10種の原因を、張宏嘉氏に挙げてもらいました。
1、白斑(はくはん)
白斑は、自己免疫細胞が皮膚のメラノサイトを攻撃することで生じる病気で、体の表面に白い斑点ができます。毛根のメラノサイトも攻撃されると、毛が白くなります。
2、甲状腺機能障害
甲状腺機能の亢進(こうしん)または低下によって、脱毛や毛包の異常が生じたり、免疫細胞が毛包のメラニン細胞を攻撃することで白髪になることがあります。
3、脳炎
脳炎は、主にウイルス感染による脳の急性炎症です。炎症が、毛根のメラノサイトに影響を及ぼすことがあります。
4、肺結核
張宏嘉氏によると「臨床観察の結果からして、結核菌に感染して肺結核になった場合、感染は肺に限らず、筋肉、骨などすべてに結核菌がまわります。それが、毛包に及べば、白髪になる可能性があります」と言います。
5、ビタミンB 12の欠乏
非常に稀なケースですが、ビタミンB 12(コバラミン)欠乏が原因で白髪が生じることもあります。先天的な吸収不良体質の人は、たとえ大量の食物を食べても、ビタミンB 12をはじめ体に必要な栄養を補えないことがあるためです。ほかに胃粘膜損傷、萎縮性胃炎、胃切除等の既往のある人は、胃内因子が乏しいために、ビタミンB 12や鉄の吸収不良をきたすこともあります。
6、貧血
重度の貧血の人は、体内でビタミンB 12が十分に吸収されないため、長い髪が白くなる傾向があります。
7、うつ病
うつ症状によって体内の免疫系が失調することが、白髪の増加に関係する場合があります。免疫系統が活性化しすぎると、自身のメラノサイトを損傷することにもなります。
8、脳の過労、ストレス、大きな感情の変化
これらの要因は、頭皮の血流に影響を及ぼす可能性があります。毛包に適切な栄養が届かなければ、メラノサイトや角質細胞が正常に機能しなくなり、白髪の原因となります。
9、日焼けおよび化学薬品の悪影響
重度の日焼け、合わないシャンプーや染髪料などで頭皮が過度の刺激を受けると、毛包内のメラノサイトが損傷することがあります。
10、栄養不良
偏食や無理な節食など、不適切な食習慣が続くと栄養が偏ってしまいます。ビタミンB 12、銅、亜鉛、鉄の欠乏は、白髪の進行を早めます。
白髪予防には、まず食事の改善を
気持ちをリラックスさせ、栄養バランスの良い食事をとるよう心がけましょう。強い日差しや、体質に合わないシャンプーなどは避けて、毛包の損傷を減らすことも必要です。また、ドライヤーで長時間髪を乾かすことや、パーマをかけることで毛包を痛める場合がありますので注意してください。
頭髪のメラニンだけが不足して長い白髪になっている場合は、食事や生活習慣を変えることで黒髪に戻ることもあります。
食事のメニューに、ビタミンB 12、銅、亜鉛、鉄などを多く含む食材をつかうようにします。鉄分ならば豚のレバー、赤身の肉、魚介類など。亜鉛は、牡蠣(かき)その他の海鮮、赤身の肉、卵、カボチャの種、胡麻、胡桃、大豆など。銅は甲殻類、貝類、ナッツ類。ビタミンB 12の補給には、乳製品、卵、レバー、肉、魚、アサリ、海苔、昆布などが有効です。
なお、人体への鉄分の吸収率を比較すると、動物性食材の鉄分は植物性食材の3倍であるとされています。ビタミンCを多く含む果物、例えばグアバやキウイと一緒に食べると鉄分の吸収率が高まります。昆布はビタミンB 12や鉄分を含むだけではなく、ヨードを多く含み、体内の甲状腺ホルモンを合成する原料となります。ヨードの補充は、毛髪の成長を促すのに役立ちます。
最後に「長い白髪を、手でつまんで抜いてもよいか」について、お答えしましょう。
無理に引いて抜かないでください。つい気になって抜きたくなりますが、白髪を抜いても白髪のまま生えてくるだけでなく、抜くときに毛包を傷つけてしまいます。毛包が傷つくと、その分、メラニン色素の生成が遅くなり、他の髪も白くなったり毛質が悪くなったりして、かえって良くない場合があります。
(作者:文/蘇冠米 翻訳編集・鳥飼聡)