〈独占インタビュー〉法輪功弾圧から臓器強制摘出 「中国共産党は世界の脅威」

今から23年前の4月。中国全土から北京の政治中枢・中南海に駆けつけた1万人を超す法輪功学習者は、天津で不当に拘束された学習者の釈放を求め、座禅などの静かな抗議運動を行った。「真・善・忍」の理念に基づき修煉する平静な気功法・法輪功は当時、中国で学習者数7000万人を超え、多数の人々に支持された。しかし、共産党の実権を握る江沢民(当時・国家主席)は、党のイデオロギーに合わない法輪功を排除しようと画策し、同年7月20日から大規模な弾圧を始めた。

拷問、虐待、臓器収奪ー。法輪功学習者に対する残虐な迫害はいまだなお続いている。そして今や中国共産党はその暴力な統治手法と反人道主義を国外にも輸出しようとしている。対照的に、日本では人権を重視した政策に舵を切るべく、超党派の議員連盟を中心として制裁措置を伴う人権法案や外交政策を推進する機運が高まっている。こうしたなか、23年間に及ぶこの迫害についての対処も、国会の議場に上がりつつある。大紀元は、国会で初めて中国臓器収奪問題を取り上げた山田宏参議院議員に単独インタビューした。

ー中国共産党による法輪功迫害に対し、日本は何かできるか。

江沢民が始めた法輪功に対する弾圧は中国の今の流れを作ってしまった。彼らが受けてきた大きな犠牲は、もう一度思い起こされるべきだ。すべてが今日につながっている。法輪功を迫害してきた共産党政権は、今や無視することのできない世界の脅威となっている。

―中国共産党が法輪功を敵視する根源にあるものは。

(法輪功は)非暴力的であり平和的だ。政治的な思想で集まったわけではない。しかし中国共産党にとってみれば、力で抑えられない、恐怖で抑えられない人々が出てきた、ということになる。法輪功学習者は自分たちの信念を持っている。共産党を倒そうという思想はないが、法輪功学習者は自分の信念で動いている。言い換えれば自由な人たちだ。中国共産党にとって、そのような人々こそ一番恐ろしい存在なのだ。

習近平体制はナチスドイツと酷似している。民族を弾圧し、他人種を弾圧する。ユダヤ人やポーランド人を強制収容所に入れて絶滅させようとした。対外的には侵略を大義名分として、他国を侵略して従わせようとした。今の中国共産党政府とどこが違うのだろうか。

さらに、ヒトラーのナチスドイツはベルリン五輪を利用して国威発揚した。来年は北京五輪が予定されている。恐るべき歴史の相似性だ。情報機器を駆使する中国共産党はまさに「1984」の世界そのもの。ビッグブラザーが統治する世の中だ。共通点はどちらも社会主義であるということ。

ヒトラーのナチスは「国家社会主義ドイツ労働者党」の略称であり、社会主義の路線を歩んだ。やっていることの違いこそあるものの、今の中国共産党も社会主義だ。国民の財産を政府が集め、そして国民に再分配する。稼いだ国民から所得を取り上げるわけだから、強い権力がないと成り立たない。そして、共産党が設定した計画に従って使用する。

強制的に財産を奪い自分たち(共産党)の目的に使用するということになれば、当然反対する者が出てくる。そのため、言うこと聞かない者はみんな強制収容所送りにする。当然ながら、弾圧と独裁につながっていく。これは、社会主義や共産主義では必然的に起こることだ。

社会主義や共産主義は、全体主義的、権威主義的な独裁政権を形成し、異なる意見を持つ者はみな殺害する統治手法を採用する。これもヒトラーの時代と全く同じだ。このようなイデオロギーを持つ一党独裁体制が、民主的な選挙を経ずに出来上がってしまう。

民主的な選挙ではなく武力によって政権を掌握した共産党政権は、民主主義に基づく自由や人権といった価値観を持ち合わせていない。共産主義の価値観から自由や人権といったものは出てこない。共産主義の価値観から出てくるのは独裁だけだ。

―中国共産党は「全人類を解放する」ことをスローガンとして掲げている。このような拡張政策に日本はどう対処すべきか。

全人類を何から解放するのだろうか、と言いたい。全人類を跪かせ、言うことを聞かない者は抹殺すると言っているのであり、共産党主導の邪悪な帝国を作るという目論見だ。このことを全人類が許容するはずがない。

今、中国共産党の統治する中国は脅威であるという世界の共通認識が形成されている。多くの国家が対中包囲網に参加しているが、これは誰かが提唱したわけではない。安倍総理がやろうとしたわけでもなければ、トランプ氏がやろうとしたわけでもない。中国共産党が自らの包囲網を作らせたのだ。

ー自由で開かれたインド太平洋は、いまや欧州諸国も参加するようになった。

このような情勢では、中国が外へ出ようとしても簡単にはいかないだろう。我々もまさかインド太平洋でドイツ軍と一緒に防衛訓練をするとは想像していないことだった。ドイツは中国と親しい関係にあるとされていた。そしてフランスもこの地域に進出してきた。長らく、中国と良好な関係にあると思われていた国々まで結束し始めた。

中国共産党政府はいつ終わるか分からないが、必ず命脈は尽きると思う。ヒトラーの運命と同じように。

―これらの外的要因のほか、共産党組織から離脱する動きもある。

我々は中国という国、もしくは中国人に対して危機感を持っているわけではなく、中国共産党政府に危機感を持っている。おぞましいほど反人類的で、反文明的で、野蛮である。そして世界にとっての脅威となっている。だから中国の人たちがそれに気付いて立ち上がっているということは、これは人類の希望だ。我々はやっぱりちゃんと連携していくということが大事だと考えている。

―日本の人々も自国を誇りについて伺いたい。

それぞれの国の人々、つまりモンゴル人にしてもウイグル人にしても、それぞれ民族としてのアイデンティティを持っている。それぞれ自分の文化と伝統を大事にして盛り上げようという気持ちがなければ、世界の平和はあり得ない。足元はぐちゃぐちゃなのに全体を統一しようとすると独裁しかないではないか。我らは民主主義を目指している。各国、各民族は高い自立性を持つ必要がある。

日本という国を、日本にいる人たちが大事にし、綺麗にし、そして良い国にしていく。同時に他国の文化を尊重して初めて世界平和がある。他国との協調を重んじるあまり日本が崩壊してしまうようでは本末転倒だ。民族としてのアイデンティティを失い、文化や言葉を失ってしまうと、それこそ独裁者に絶対的に服従するしかなくなってしまう。このようなことがまさに中国で起きている。

大事なのは、それぞれの国それぞれ民族が持つ自立性や独立性、文化が相互に尊重されることであると思う。日本を大事にするためにはあなたの国も大事にできる。お互いが何かを押し付けられてはいけない。そうでないと、平和を築けないだろう。

―中国共産党に迫害されている人々にメッセージをお願いしたい。

皆さんの、いま身に生じている本当に悲惨な状況は、明日の私たちの状況だと認識している。したがって、我が事のように捉えて踏ん張り、一日も早くそのような不幸な状況が解消されるよう、我々も勇気を出して前に進んで行かなければならないと思う。世界の未来がかかっている瞬間であるため、しっかりその責務を果たしたいと思っている。

(聞き手・王文亮/編集・王文亮、蘇文悦)


山田宏(やまだ ひろし)昭和33年1月東京都生まれ。京都大学法学部卒。自由民主党所属の参議院議員(1期)。日本の尊厳と国益を護る会(護る会)幹事長。松下政経塾2期生。東京都議会議員(2期)、東京都杉並区長(3期)、衆議院議員(2期)。

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