2021年外交青書 政府、中国共産党の軍事挑発に危機感鮮明に

茂木敏充外務大臣は27日の閣議で、外交に関する年次報告書「外交青書2021」を報告した。報告書では、中国共産党の軍拡や、東シナ海および南シナ海での活動の活発化に強い懸念を示した。

報告書によると、中国の国防費は過去30年間で約44倍に増加している。中国の軍拡は透明性を欠き、アジア太平洋地域の現状を変えようとする一方的な行動は、この地域と国際社会にとって「強い懸念」である。

報告書では、尖閣諸島付近で中国公船が活発な活動を続けることを「国際法に反する」と批判し、中国当局が今年2月から施行した、中国海上警察に紛争海域で武力行使を認める「海警法」について「深い懸念」を表明した。

これに対抗するため、日本は米国、オーストラリア、インドとの4カ国安保対話(Quad、クアッド)での連携を強め、自由で開かれたインド太平洋の維持・促進に向けて取り組んでいく。日本は、二国間および多国間の対話を通じて、より多くの国との協力を求めていくという。

日米関係については、日米同盟が日本の外交・安全保障政策の礎であることに変わりはなく、地域の安全保障環境の不確実性に直面する中で、その重要性はかつてないほど高まっていると指摘している。

中国共産党による台湾への挑発行為が強まる中、「台湾は、日本にとって、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人である」「日本は、台湾のWHO総会へのオブザーバー参加をこれまでも一貫して支持してきている」と台湾を支持する姿勢を明らかにした。

2020年版の報告書では、東シナ海や南シナ海での中国共産党の動きを「地域・国際社会共通の懸念事項」に挙げたが、習近平総書記がG20大阪サミット出席で初来日し、日中関係が「雪解け」に向かっていることを強調した。

今回の報告書は、これまで以上に中国共産党への批判を強めている。中国共産党による新疆ウイグル自治区での人権侵害疑惑や、香港への弾圧なども懸念事項として挙げている。

また、習氏の国賓訪日については、「日中両政府はまずは新型コロナの収束に専念すべきであり、今は具体的な日程調整する段階にはない」としている。

(翻訳・王君宜)

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