米戦略軍司令官、中国軍の急速な核軍拡を警告 「最大の戦略的脅威」

核兵器の統合運用を行うアメリカ戦略軍(USSTRATCOM)の司令官、チャールズ・リチャード(Charles Richard)海軍大将は20日、米議会公聴会で、中国当局は軍事力の近代化や核戦力の増強を急速に進めていると警告した。

米上院軍事委員会で開催された公聴会に出席したリチャード大将と、アメリカ宇宙軍(USSPACECOM)の司令官であるジェームズ・ディキンソン(James Dickinson)陸軍大将は中国当局による軍事的脅威を強調した。

リチャード司令官は、軍事力近代化を進める中国軍の長期的目標は、米国に代わってアジア・インド太平洋での地域覇権を目指し、同地域における米軍の兵力投入を阻止することだと指摘した。同氏は、中国の軍備拡張や軍事動向が透明性を欠くため、中国が核能力の拡張を進めていることに一段と注視しなければならないと警告した。

「私には選択肢がない。中国を米国の最大の戦略的脅威であると言わざるを得ない。中国は、アジア太平洋地域で核運用戦略(Nuclear Employment Strategy)を実行する能力をもっている。近いうちに、中国はこの地域で大陸間距離での核兵器を配備できるようになるだろう」と証言した。

米国は核兵器不拡散条約(NPT)の参加国である。バイデン新政権は2月、ロシアとの間の核軍縮条約、新戦略兵器削減条約(新START)を5年間延長すると発表した。

リチャード大将は、中国軍の核兵器配備は「飛躍的に」増加しているとした。同氏は、中国の核兵器に関するすべての報告書について、「情報が古くなった可能性がある」ため、1カ月以上前の情報を含まないよう部下に命じたばかりだと明かした。

大将は上院に対して、米の軍事力優勢を保つために、大陸間距離ミサイルシステムや核対応爆撃機、弾道ミサイル潜水艦を含む軍事予算拡大を支持するよう促した。

また、大将はバイデン政権の発足後、中国とロシアがインド太平洋地域やウクライナなどで軍事行動を繰り返していることに懸念を抱いた。

いっぽう、ディキンソン大将は、宇宙空間を利用して軍事力を急速に拡大している中国について、米軍事上の最重要課題の一つと指摘した。中国側の軍事的挑発に対応するために、宇宙空間での衛星システムによる情報収集・偵察において、米軍による宇宙産業の民間企業との提携をさらに強化すると主張した。

16日、訪米した菅総理はバイデン米大統領との間で日米首脳会談を行った。会談後に発表された共同声明は、両首脳はインド太平洋地域および世界の平和と繁栄に対する中国の行動の影響について意見を交換し、「ルールに基づく国際秩序に合致しない中国の行動について懸念を共有する」と示し、中国当局を名指しで批判した。

バイデン政権が対中で強い姿勢を見せた背景に、米軍当局者、政府機関関係者、シンクタンクの研究者の間で、中国当局を脅威ととらえる人が増えていることがあるとされる。

(翻訳編集・張哲)

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