中国、一部大都市が人口の「マイナス成長」に突入 専門家「大きなターニングポイント」
中国の主要都市は20日、2020年の人口増加に関する統計を公表した。瀋陽市をはじめとする大都市の人口の自然増加率がマイナスであることがわかった。中小都市に続き、中国の一部の主要大都市でも「人口マイナス成長」の時代に突入した。
中国メディア「21世紀経済報道」は、人口統計を公表した26市のうち、8市の人口の自然増加率がゼロを下回ったと報じた。
瀋陽市は、人口の自然増加率がゼロを下回った最初の「新一線都市」となった。 同市の2020年の自然増加率は-3.34‰(登録人口)で、昨年より3.38ポイントも低い。また出生率は6.68‰で、昨年よりも1.67ポイント低く、死亡率は10.02‰で、昨年より1.71ポイント増加している。
中国では、北京、上海、広州、深圳市に次いで発展している都市とされる15都市を「新一線都市」と格付けしている。
遼寧省・撫順市は、これまでにデータを発表した都市の中で、人口の自然増加率が最も低く-13.3‰を記録した。
さらに江蘇省の泰州、揚州、鎮江、常州、無錫市の5都市、山東省の威海市なども人口がマイナス成長となった。
なかでも、登録人口が500万人を超える大都市である無錫市は、2020年の死亡数が4万20人と、出生数の3万9216人を上回り、人口の自然増加率は-0.16‰となった。
他の都市では人口の自然増加率がゼロを下回らないものの、ゼロに近づいている。例えば、浙江省の寧波市の自然増加率は0.75‰となっている。
これまで多くの小さな町で人口がマイナス成長になっていたが、今回の発表で一部の大都市も同じ傾向にあることがわかった。中国社会科学院の人口・労働経済研究所の研究者である王広州氏は「これは大きなターニングポイントであるが、静かに起こっているため、多くの人々はまだ気づいていない」と指摘した。
「中国とグローバル化シンクタンク」の特別招聘上級研究員で人口学者の黄文政氏によれば、「多くの大都市が徐々に人口のマイナス成長の段階に入れば、国全体の人口も将来的にマイナスに成長する。この状況は数年以内に現れ、しかも加速する傾向にある」との見解を示した。
中央銀行は14日、「我が国の人口変化に関する認識と対策」と題された論文を発表した。人口問題は同行の管轄ではないため、論文発表は波紋を呼んだ。同論文によれば、中国の高齢化は深刻であるとし、出産の完全自由化(1世帯あたり3人あるいはそれ以上)を呼びかけた。
「2020年の人口統計」をすでに発表した地方のデータによれば、2020年の出生人口の減少率は10〜20%となっている。
中国経済媒体「第一財経」の18日のデータによれば、2019年の中国の出生人口は1465万人で、1987年(過去40年間の出生人口のピーク年)の58%であることがわかった。
中国の人口専門家であり、広東省人口発展研究院の院長でもある董玉整教授によれば、現在の傾向で進めば、第14次5カ年計画期間中(2021~25年)にも、年間出生人口が1000万人を下回る可能性があると指摘している。
董氏は、近年の出生数の減少スピードが速いため、数年以内に中国の総人口はマイナス成長になる恐れがあると懸念を示した。
(大紀元日本ウェブ編集部)