月 (Photo credit should read LAURENT EMMANUEL/AFP via Getty Images)
≪医山夜話≫(55)

月と生命現象との関連

月の周期的な変化は、地球生命に影響があるといわれています。最も分かりやすい例をあげると、それは女性の月経です。普通、女性の生理周期は28日間で、ちょうど月の「恒星周期(月が地球を中心に一周するのに要する日数)」の27日間と、「朔望周期(月の満ち欠けの一周期)」の29日間の間に介在します。月の周期は人類の出産とも関係があり、産婦の圧倒的多数は満月の後に出産します。

 月の満ち欠けの変化は人類の精神状態にも関連しています。古代バビロン人は精神病にかかる人を「ルナチック(Lunatic)」と呼び、これは「月に影響される病変」を意味します。今でも、アメリカ人はこの言葉を使います。精神病患者は満月の時に発病しやすいと、一部の研究者たちも発表しています。

 満月の時、人間には不安、緊張、苛立ち、幻想などの感情的な変化が起こりやすいといわれています。また、満月を見て人々は昔を追憶し、感傷、憂鬱などの情緒不安定に陥りやすいのですが、その一方、この時、詩人にとっては絶妙な詩を創作するチャンスとなります。

 『黄帝内経・素問』の「八正神明論篇」には、次のように記載されています。「月が満ちはじめると、気血が次第に盛んになり、衛気(脈の外を素早く循る気)の運行も活発になる。満月の時、気血が潤い、筋肉が強くなる。月が欠ける時、経絡内の気血が弱くなり、衛気が去り、肉体の活動を支える気血は空虚な状態になる」。すなわち、人体、気血、筋肉、経絡に流れている気血の虚実は月の満ち欠けと対応し、変化しています。

 月の満ち欠けの変化はまた、人類の死亡時刻にも関係があります。慢性病や衰弱死の患者のほとんどが、引き潮、あるいは潮位が低い時、つまり月末に亡くなります。一方、出血性脳卒中患者は月の前半に死亡する例が多いのです。肺結核由来の喀血は大半、満月前の7日間の間に発生します。消化管出血は満月前後に発病率が最も高くなります。海辺に住んでいる人はよく分かると思いますが、怪我した時、傷口からの出血量は潮の満ち引きと関係があり、満潮時の出血は比較的に多いのです。つまり、月の満ち欠けは血液の流動性にも関係しているのです。

(翻訳編集・陳櫻華)

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