デカップリング回避の狙いか 李首相らが相次ぎ米企業トップと会談「協力強化を」と異例の呼びかけ
新疆問題をめぐって外資企業への不買運動を煽った中国当局は、欧米企業との関係を改善しようとしている。当局は各国との経済的なデカップリング(分離)を回避する狙いがあるとみられる。
中国国家発展改革委員会は13日、テスラやクアルコム、スターバックス、アマゾンなど、中国に進出する米企業47社の幹部と、米企業で組織されている中国米国商会の関係者60人超を招き、会談を行った。会議で、国家発展改革委員会の寧吉喆・副主任は、中国は「揺るぎなく対外開放を引き続き拡大していく」と強調し、「米企業を含む世界各国の企業が中国の対外開放、二国間・多国間の経済活動・貿易の拡大に参与することを望む」と話した。
ブルームバーグは、中国当局者が米企業の上級幹部に直接呼びかけるのは「異例だ」との見方を示した。
また、李克強首相は13日、米経済界リーダーとのオンライン会議に出席した。会議には米中貿易全国委員会(USCBC)と米大手企業20社の会長や最高経営責任者(CEO)が参加した。米国のヘンリー・ポールソン元財務長官がこの会議の進行役を務めた。
李首相は、米企業のトップに対して、中国経済とデカップリングしないよう呼びかけた。首相は、「協力・提携のなかでトラブルが起きたなら、これは協力して解決しなければならない」「デカップリングは双方にメリットがなく、国際社会に損害を与えるだけだ」と話した。首相は「対外開放という扉はどんどん大きく開くしかない」と約束した。
米投資週刊誌「バロンズ」の報道によると、13日、中国の叢培武・駐カナダ大使はモントリオールで、西側諸国で中国とのデカップリングを求める声が強まっていることを「懸念している」と述べた。大使は、カナダ政界に対して「協力を強める必要がある」と訴えかけ、「われわれは引き続き、対外開放を展開していく」とした。
オランダ金融大手、INGグループのアナリストであるアイリス・パン(Iris Pang)氏は、ブルームバーグに対し、中国当局は米ビジネス界のトップとの会議を通して、中国は依然として米企業にとって大きな市場であるとのメッセージを米政府にアピールしたとの認識を示した。
大紀元コメンテーター、袁斌氏は、「中国当局は米中間のデカップリングをどうしても回避したい」と述べた。
「デカップリングで米企業は損失を被るが、世界各国でのサプライチェーンや生産拠点を調整し、新たな市場を開拓すれば、短期間に回復できる。しかし、中国が米市場や米企業のハイテク技術を失い、米ドルを中心とする国際決算システムから排除されることは、中国経済にとって致命的となる」
米共和党のトム・コットン上院議員は2月18日、米中関係報告書を同氏の公式ウェブサイトで公開した。
議員は、報告書のなかで「米経済は中国と密接に関係しているため、中国共産党が米国の政府や産業界に対して影響力を持つようになった。今こそ、私たちは中国との関係を断ち切る時である」とし、「経済的な長期戦で中国共産党を打ち負かす」必要があると指摘した。
一方、中国当局は、米国側に指摘された不公平な貿易慣行などを改める姿勢を示しておらず、米中関係の悪化の原因は米国側にあるとのこれまでの主張を変えていない。
中国メディアによると、14日の米企業との会議で、中国国家発展改革委員会総合司の張煥騰・副司長は、米中の経済・貿易関係に対立が生じた原因は「米国の前政権にあり、対中追加関税を課して中国企業などに制裁措置を講じるという誤ったやり方にある」と述べた。
さらに、米中経済関係の安定化に向けた中国当局の政策について質問されると、張副司長は「米側の出方次第だ」と話し、米国のバイデン新政権に対して、トランプ前政権の「誤った行動を正す」よう求めた。
(翻訳編集・張哲)