日本はアジアの人権大国として態度示す 超党派の人権外交議連が設立

人権外交超党派で考える議員連盟の設立総会が4月6日、衆議院議員会館で開かれた。ミャンマーや新疆ウイグル自治区、香港などの地域における人権侵害を「国際社会に対する脅威」とし、弾圧側に対して即時中止を求める国会決議を出すべきとの決議文を発出した。

日本の「対中政策に関する国会議員連盟(JPAC)」共同代表の自民党の中谷元・元防衛相と国民民主党の山尾志桜里衆院議員が、今回の人権外交議連の共同代表を務める。

決議文では、菅義偉首相の4月訪米や、6月に英国で開催予定のG7サミットのなかで「各国と事実関係を協議し、連携・協調して日本の人権外交を積極展開する」と表明した。また、政府に対して、ジェノサイドなど海外の重大な人権侵害案件の調査と公表を求めた。議連は、資産凍結や出入国制限などの制裁措置を科すことを可能にする「人権侵害制裁法案」の成立に向けて、検討を進めるという。

同議連には共産党や公明党を含む与野党の議員67名が参加している。発起人の中谷元議員は、国際的な人権問題については国会が一丸となって取り組むべきだと語った。山尾議員は、日本はアジアの人権大国として、明確な態度を国際社会に示さなければならないと強調した。

G7諸国のなかで、自国外の人権侵害にも制裁を科すことができる人権法(マグニツキー法)を整備していないのは日本だけとなっている。米国、カナダ、欧州連合(EU)、英国は3月22日、中国政府高官4人と新疆生産建設兵団公安局に対して制裁を科すと同時に発表した。オーストラリアとニュージーランドも、この協調した制裁を賛成する共同声明を発表した。

3月30日、米バイデン政権は、中国共産党は組織的に同地域で強制労働や拷問、女性への不妊手術など弾圧を続けており「ジェノサイド(民族大量虐殺)が行なわれている」との前政権からの指摘を引き継ぐ人権報告書を発表した。

今年2月1日にクーデターが発生し、全国が軍事政権の支配下に置かれたミャンマーでの人権状況も悪化している。人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch)によると、ミャンマーではクーデター後、軍事政権により数百人が強制失踪させられている。当局は政治家、選挙関係者、ジャーナリスト、活動家、デモ参加者を監禁しているという。

日本は現行の外為法(外国為替及び外国貿易法)に基づき、アパルトヘイト政策を取る南アフリカの人権侵害者に制裁的措置を課したことがある。しかし、加藤官房長官は3月23日の会見で「外為法に人権問題のみを理由として制裁を実施する規定はない」と発言し、中国共産党やミャンマー軍事政権に対する制裁については消極的な姿勢を示した。

茂木外相は5日、中国の王毅外相との電話会談で、香港や新疆ウイグル自治区における人権問題、また海警局による武器使用を認めた海警法などへの懸念を伝えた。中国政府によれば、王毅外相は「内政問題」と従来の回答を繰り返した。

(佐渡道世)

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