米政府、ワクチンパスポートは導入しない プライバシーを懸念
米ホワイトハウスは6日、国民にワクチンパスポートの携帯を義務づける制度を支持しないと発表した。ジェン・サキ報道官は「米国政府は考え方が極めてシンプルだ。アメリカ人のプライバシーと権利を守るために、人々を不公平に扱うようなシステムは導入しない」と説明した。
フロリダ州のロン・デサンティス(Ron DeSantis)知事は2日、ワクチンパスポートの導入は「酷いアイディア」だと批判し、ワクチンの接種を証明する文書の使用を禁じる行政命令を出した。
5日、テキサス州のグレッグ・アボット(Gregory Abbott)知事も、新型コロナ・ワクチンの接種が証明できる「ワクチンパスポート」の提示を利用者に義務付けることを禁止すると命令を出した。「政府は、テキサス州民の日常生活のために、予防接種の証明書の提示や個人の健康情報の開示を求めるべきではない」と述べた。
いっぽう、ニューヨーク州では、ワクチン接種済みあるいは検査で陰性だったことを証明するアプリ「Excelsior Pass」を公開したと発表した。特定のイベントや場所、例えばマディソン・スクエア・ガーデンに入るには、予防接種を証明する同アプリの提示が必要になっている。
ロイター通信によると、世界保健機関(WHO)は6日、現時点で新型コロナ・ワクチンの接種を証明する「ワクチンパスポート」を海外渡航の要件とすることを支持しないと発表した。WHOの広報は「現時点でワクチンが感染を防ぐかどうか確認できていないため、ワクチン接種パスポートを出入国の要件とみなしたくない」と述べた。
ワクチンパスポートの導入の検討や、すでに導入された国がある。例えば、英イングランドでは、大型イベントを開催するために「COVIDステータス証明(COVIDパスポート)」の試験運用を行う予定だ。欧州連合(EU)も同様の証明書の発行を検討している。イスラエルではすでに、ワクチン接種完了者と新型コロナウィルス感染症回復者に「グリーンパス」を発行しており、ホテルやスポーツジムなどを利用する際に提示することを義務付けている。
(翻訳・蘇文悦)