米オーストラリア、極超音速巡航ミサイルを共同開発

オーストラリアと米国が空中発射型極超音速巡航ミサイルの共同開発に着手した。最先端技術を搭載した同ミサイルにより、沖合からの攻撃に対するオーストラリアの防衛能力が高まる。

オーストラリア国防省の報道官はFORUMに対して、「米豪は『サザンクロス統合飛行研究実験(SCIFiRE)』として空中発射型極超音速巡航ミサイルのプロトタイプを共同で開発・実験することで合意した」とし、「過去15年にわたり、米豪は極超音速スクラムジェット、ロケットモーター、センサー、高度な製造材料に関する科学技術研究に共同で取り組んできた。この誇り高い歴史により、今回サザンクロス統合飛行研究実験プログラムを立ち上げることができた」と述べている。

今後10年間で国防費40%増を予定しているオーストラリアは、2020年度にその一環として高度ミサイル研究に6800億円(68億米ドル)相当の予算を計上した。同報道官は、「『2020年国防戦略更新』にオーストラリアの戦略的環境における課題と防衛計画への影響が示されている」と付け加えている。

極超音速ミサイル開発に着手している国にはインド、中国、ロシア、米国が挙げられる。極超音速ミサイルは音速の5倍(時速6000キロ以上)の速度で変則飛行して高速落下するため、従来型の防空システムでは追跡・迎撃が困難である。

新しい極超音速兵器には、誘導弾道ミサイル、ブーストグライドミサイル、極超音速巡航ミサイルが含まれる。前者の2種類はロケットブースターにより極超音速が達成する。極超音速巡航ミサイルにはサイクルエンジンが搭載される。 サザンクロス統合飛行研究実験プログラムの研究課題は、空気吸入推進システムの開発である。これにより極超音速兵器を異なる航空機に搭載できるようになる。

オーストラリア国防省は開発するプロトタイプの種類には言及していないが、航空機から展開するシステムを優先していると考えられる声明を発表した。これにより戦術の柔軟性が高まる。 2020年12月に発表された声明で「当国の利益に対する攻撃を阻止する手段として、オーストラリア国防軍に一層豊富な選択肢を提供するため、当国は高度な機能への投資を継続する」と表明したリンダ・レイノルズ(Linda Reynolds)豪国防相は、米豪のシステム共同開発により、両国の航空宇宙防衛企業にも経済的利益がもたらされると述べている。

米国議会調査局(CRS)によると、米国は2000年代初頭から極超音速兵器の開発に取り組んでいる。フォーブス誌の報道では、日米豪印戦略対話(クアッド)を結ぶ他3か国(オーストラリア、インド、日本)もまた、極超音速兵器システムに必要な基礎技術の多くを開発してきた。  

(Indo-Pacific Defense Forum)

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