ビットコインに倫理的懸念 新疆が中国最大の産出地 専門家がリスク警告

最近、ビットコインの価格が乱高下している。2月初め、米電気自動車大手のテスラがビットコインへの約15億ドルの投資を発表した後、ビットコインは50%近く急騰し、22日には史上最高値の5万8000ドルを記録。しかし、22日の夕方から急落。23日夜には4万5000ドル近くまで下落し、24時間で約20%の暴落となった。24日朝には大幅反発し、5万ドルの大台まで回復した。

経済専門家らは、ビットコインの値段が回復しても、投資に対して慎重に判断すべきだと主張している。

米経営戦略策定コンサルティング会社「ストラテジック・リスクス(Strategic Risks)」の創業者で最高経営責任者(CEO)のアイザック・ストーン・フィッシュ(Isaac Stone Fish)氏は、2月19日付の米投資週刊誌「バロンズ (BARRON’S)」への寄稿文の中で、ビットコインの倫理的な懸念について投資家に警告を発した。

記事では、ビットコインの採掘マイニング)の大半が中国に集中しており、新疆から大量の新規ビットコインが流出していると指摘。ケンブリッジ大学のビットコイン電力消費指数(CBECI)によると、2020年4月の時点で、ビットコイン・マイニングの65%が中国で行われており、そのうち36%は中国最大の産出地である新疆からのものだという。

主な理由は、新疆は石炭が安く、ビットコインの採掘に必要となる膨大な計算処理に、安価な電力を供給できるからだ。石炭の供給量も豊富で、現地で直接発電することで他の地域に比べてコストを抑えることができるという。

中国北西部に位置する新疆ウイグル自治区では、100万人以上のウイグル族や他の少数民族が「職業教育訓練センター」と呼ばれる強制収容所に収容されている。直接的な証拠は乏しいが、多くの生存者が、収容所での拷問、強制労働、強制不妊手術、組織的なレイプについて証言している。

記事は、新疆で生産された製品は深刻な人権の問題を抱えていると指摘している。投資家は、米政府がビットコインの取引をさらに監視または制限するための措置を講じる可能性があるとした。

また、米政府は現在、中国企業やその技術製品への依存度を下げようとしており、新疆をめぐる米中対立が続けば、米財務省は新疆で大規模な事業を展開するビットコイン採掘企業に制裁を科す可能性があるという。

米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ(Bill Gates)氏は最近、ビットコインに潜む金融リスクに対処するためには十分な資金が必要だと警告する一方で、仮想通貨が消費するエネルギー量を理由に、ビットコインを支持しなくなったと強調した。

米経済学者のヌリエル・ルービニ(Nouriel Roubini)氏は17日、米ブルームバーグ(Bloomberg)の取材に対し、「ビットコインの上昇は、大規模な操作と関連しているに違いない」と指摘した。同氏は以前から、「ビットコインには、収入も用途も効用もないから価値がない」「この暗号資産の価値を誰も知らないのが現実だ」などの発言で、ビットコインのリスクについて警告を発してきた。

(翻訳編集・王君宜)

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