中印衝突の死者数に疑問の海外在住中国人男性「嘘だらけの国に住みたくない」
中国共産党当局はこのほど、兵士4人が昨年6月、インド軍との国境衝突で死亡したと発表した。海外在住の中国人男性が今月、ネット投稿で当局の報道を疑問視・批判したことで、中国の警察当局から指名手配されている。中国にいる両親も警察署で食事を与えられず取り調べを受けた。
23日付の米政府系ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、王靖渝さん(19)は中国版Twitter「Weibo(微博・ウェイボー)」に、インド軍への支持、中国軍の犠牲者数への疑問、当局の情報公開の遅れへの疑問など3つのコメントを投稿した。
重慶市沙坪壩区の警察は21日夜、通報を受けた後、「辺境を守る英雄的な兵士を誹謗中傷した」として、「騒動挑発罪」の疑いで王さんに逮捕状を出した。
米国の永住権を持ち、現在は欧州に住んでいる王さんは、2017年からソーシャルメディアで香港や海外の民主化活動を応援し始め、2019年には「反中」発言をしたとして中国警察に任意同行を求められた。その後は海外に移住した。
王さんによると、事件当日の夜、重慶市沙坪壩区の警察が突然、王さんの実家に押し入り、家宅捜査を行った。警察からは「3日以内に中国に帰らないと、両親に迷惑がかかるぞ」との脅迫メッセージが送られてきたという。
国有企業に勤める彼の両親は、今回の事件で停職処分を受け、何度か警察署で事情聴取を受けていた。
王さんはRFAのインタビューで、海外では逮捕されていないものの、電話番号や中国の住所、パスポートまで警察によってネット上で公開されたと語った。トルコやブルガリアからの電話で死の脅迫を受けたこともあるという。
「嘘だらけの国に住みたくない」
危険と知りながら、このような発言をした理由について、王さんは「嘘だらけの国に住みたくないから本当のことを言っているだけ。それを疑問視する人が逮捕されるべきではない。中国国民はみんなその権利を持っている。中国の憲法でさえ、国民に言論の自由があるとしている。しかし、中国共産党はただのヤクザであり強盗だ」と述べた。
インタビューでは、中国共産党政権の本質を理解するまでの道のりも語った。「父は空軍に従軍した後、公安部に配属され、全国人民代表大会の人民代表(国会議員に相当)にも選出された。しかし、父は恐ろしい光景を目撃した。当時、警察の治安部隊は夜に売春やポルノ、ギャンブル、麻薬の不正取引を捜査した際、警察官は売春婦の女性を捕まえると、その場で強姦し、殴っていた……父は中国共産党が芯まで腐っていると感じ、公安や全国人民代表大会を辞めて国有企業の営業職に就いた」
「叔母の子どもが重慶の幼稚園に通っている。 今の中国の教育は、幼稚園から『共産党がなければ、幸せな生活はない』『共産党がなければ、食べるものがない』などで子どもを洗脳している。ほとんどすべての公立小学校の授業で、生徒たちに国や党、中国軍がどれだけ好きかを語らせている」
「中国共産党≠中国人、より多くの人に知ってもらいたい」
王さんは、邪悪な中国共産党は、「党と人民の概念を混同し、中国人民を目に見えない牢獄に入れてしまう。共産中国は国ではなく、地獄だ。(中略)中国共産党は中国人と対等ではないという事実をもっと多くの人に知ってもらうべきだ。中国人は香港人のように抵抗すべきだ」と述べた。
「中国共産党がどんな政党なのか、中国共産党がどのように政権を掌握したのか、もっと多くの中国人に知ってもらいたい。もっと多くの人に真実を知ってもらいたい …… 一人でも多くの人に真実を知ってもらうことが、希望を広めることだ」とした。
中国のニュースサイト澎湃新聞などによると、中国の警察は22日の時点で、王靖渝さんを含めて全国で少なくとも7人のネットユーザーを「摘発」した。
(翻訳編集・王君宜)