ファーウェイがAI技術で養豚業に進出 会社の生き残りかける
中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)はこのほど、米政府の禁輸措置により、事業の柱となるスマホ製造事業が大打撃を受けたことで、会社の存続を目指す新事業計画を発表した。同社が今後、人工知能(AI)技術などを使って、伝統産業である養豚業に進出することを計画の一部としていることがわかった。中国で大きく注目されている。
中国の複数メディアは15日、ファーウェイのマシンビジョン(Machine Vision)部門、華為機器視覚の総責任者である段愛国氏が、SNS「微頭条」に投稿し、同部門はAI技術を使う養豚事業計画「智慧(スマート)養豚」を発表したと、相次いで報道した。段氏によると、この養豚システムには、ビックデータ解析、デジタル化管理、AI識別、AI予測、ロボット巡視・検査、遠隔操作などの技術を利用する。
段氏は、華為機器視覚は今後、「智慧養豚」に取り組むとし、AI技術によって養豚飼養管理技術がさらに向上するとの見解を示した。
ファーウェイはすでに昨年10月、『5G(次世代移動通信網)が現代養豚場のAIによる智慧養豚をリードする』との報告書を発表した。同報告は、AIとビックデータ解析による養豚場管理を主張した。
ファーウェイ創業者の任正非氏は2019年8月20日、米AP通信の取材に対して「大学に進学しなかったら、養豚業に就職し、この業界の第一人者になれたかもしれない」と話した。
IT業界の養豚業進出が相次いだ。アリババ集団の創業者である馬雲氏、京東集団の創業者の劉強東氏、網易の創業者の丁磊氏も参入した。
中国のネットユーザーは、ファーウェイの養豚事業について、「ある意味で、IT技術者より、養豚業の方が儲かるということを教えてもらった」と否定的な声を上げた。
ファーウェイは米国の禁輸措置により、スマホ製造に必要な半導体を調達できず、出荷台数が激減した。このため、同社は生き残りをかけるための事業計画を構想した。
任正非氏は今月9日、山西省太原市のイベントに出席した際、同社は「南泥湾プロジェクト」を展開すると発言した。同プロジェクトの下でファーウェイは、石炭、鉄鋼、スマートスクリーン、ノートパソコン、タブレット端末などの分野だけでなく、さらに音楽分野にも力を入れていくという。任氏は、ファーウェイは同プロジェクトで、スマホ事業がなくても生き残れるとの見方を示した。
1940年代、国民党による封鎖と軍事攻撃を受けて、経済的に苦境に立たされた中国共産党は、陝西省延安の南泥湾を開墾し、自救のための大生産運動を展開した。
専門家は、ファーウェイの南泥湾プロジェクトは成功しないとの見方を示した。
中国経済評論家の王剣氏は、大紀元に対して「ファーウェイはノートパソコンやタブレット端末などを製造するのに、米インテル社などの半導体が必要だ。これも米政府の許可がなければ、インテル社はファーウェイに供給できない」と述べ、ノートパソコンは同社の今後の主要事業になれないと指摘した。同氏は、柱となる事業がなく、石炭などの伝統産業だけでは、ファーウェイの返り咲きは難しいと示した。
(翻訳編集・張哲)