【紀元曙光】2021年2月2日

今年は2月2日が節分。日本で豆をまいて、地球上の邪鬼を一掃しよう。

▼一説によると、豆は魔滅(まめつ)つまり「魔物を滅する」霊的な力の象徴として、本来は粗末にできない食べ物である豆に、あえて鬼打ちの意味を持たせたらしい。節分に豆をまく風習は古くからあったようで、室町時代には公家から武家まで広く定着していた。

▼そこで想像だが、ひとしきりの豆まきの後に、屋敷中に散乱した煎り豆をつまんで口に運ぶ中世の人々がいたと思うと、実に微笑ましい。神仏への供物としては、正月の鏡餅だけでなく、五穀や各種の果物、あるいは干魚など、あらゆる食べ物が供される。神様も食べるところが、なんとも良い。神様の後に、それを下げて人間が食べる。もったいないからではなく、そこに神仏を敬う日本人の様式があるのだ。

▼「柊(ひいらぎ)の枝にイワシの頭を刺して、玄関に飾る」を、はるか昔の幼少期に筆者もやったような気がする。子どもが悪い病気で死なないように。節分に見られる伝統とは、科学的エビデンスの小理屈ではなく、親から子どもへの真摯な祈りの産物である。

▼短い小説を書く。「ある企業が、直径7ミリのプラスチック球を製造して売り出した。節分の鬼打ち豆の代わりになる。10年で自然分解するエコ豆なので環境を汚染しない」「エコ豆は親たちに大量に売れた。企業は儲かった」「ところが、これを使って豆まきをする子どもたちの小さい顔が、どれも鬼のようになっていた」。

▼日本人は昔へ戻ったほうがいいのではないかと、ふと思う。もちろん、戻れはしないのだが。

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