【紀元曙光】2021年1月27日
人類に大きな幸福をもたらした、と言える発明品は何であろうか。
▼今日ならばスマホやパソコンがそれに相当するだろうか。ただ、この二つは、使い方によっては人間を不幸にもする。地下鉄の座席にすわると、目の前に並ぶ7人の乗客全員がスマホを操作していた。スマホを持たない筆者には、不思議な光景に思われる。
▼そんなことは、よい。要は、便利すぎる機器のなかから飛び出てくる無量無数の情報が、ときに有害でもあるという側面を使用者が弁えていることだろう。不便であることの重要性を、人はどこかで担保しておくべきではないかと危惧するが、便利なモノが売れる世の中である以上、致し方ない。
▼工業製品に限定して考えれば「白熱電球」と「足踏みミシン」を発明し実用化したことは、人類の大きな幸福であったと言ってよい。夜でも本を読めることが、人間の思索をどれだけ深くしたか知れない。足踏みミシンは、今でも電気事情のわるい発展途上国などで大活躍しているそうだが、これを使って衣服を縫うとき、人は他者への優しさそのものになれるのだ。
▼1880年1月27日、トーマス・エジソンが白熱電球の特許を取得した。エジソンという人は、子ども向けの伝記でも知られているように「発明王」ではあったが、やはり奇人の類に入るだろう。製作中の蓄音機を前に肩肘をつき、考えあぐねるポーズの写真は有名だが、そうして自分を見せる俗っぽさもあった。
▼ただ彼は夢中になることに純粋で、ガチョウの卵を抱いて孵化させようとした。そんなエジソン少年に、たまらなく会いたいと思う。
関連記事
抗生物質だけでなく、身近な薬も腸内細菌に影響する可能性がある――。中医学では胃腸を「土」にたとえ、体を育てる基盤と考えてきました。腸の乱れを別の角度から見直すヒントです。
むずむず脚症候群はパーキンソン病リスクと関連する一方、治療薬が発症を抑える可能性も示されました。最新研究が明かす両疾患の意外な関係と、正確な診断の重要性を解説します。
冬になると腰や膝が冷え、関節が動かしにくくなる――。中医学では、こうした不調は体の内側の冷えと関係すると考えられています。かぼちゃと小豆の「いとこ煮」は、巡りを整える養生食として親しまれてきました。
透析患者の命を脅かす心筋梗塞リスクを、魚油が大きく下げる可能性が示されました。大規模臨床試験が明らかにしたオメガ3の効果と注意点を解説する注目の研究報告です。
抜け毛や白髪は年齢だけの問題ではないかもしれません。中医学では、髪の状態は「腎のエネルギー」と深く関係すると考えられています。下半身の簡単なストレッチが、髪の健康を支えるヒントになる可能性も。