ポーランド、IT企業に対する規制を検討 「言論の自由は民主主義の本質」
インターネット上における言論の自由を保護するため、ポーランド政府は新たな法案を起草している。法案が実施されれば、投稿の削除等の判断は司法当局にゆだねられ、法律に違反したソーシャルメディア企業には高額な罰金が科される見通しだ。ポーランドメディア「REMIX NEWS」が報じた。
IT企業による検閲を制限する試み
アメリカ大統領選をめぐる不正が明るみに出てから、ソーシャルメディアを含む巨大IT企業による恣意的な規制は相次いだ。ツイッター、フェイスブックなどはトランプ米大統領のアカウントを永久に停止し、事実上の言論統制を行った。
ポーランドではインターネット上の言論の自由を守るため、巨大IT企業に対し制限を設ける動きが出ている。ポーランドのズビグニエフ・ジョブロ(Zbigniew Ziobro)法務大臣は、「ソーシャルメディアのユーザーは、自分たちの権利が保護されていると感じなければならない。表現に対する検閲はあり得ない。言論と討論の自由は民主主義の本質である」と強調した。
ポーランドメディア「Benchmark.pl」によると、法律立案を監督するセバスティアン・カレタ(Sebastian Kaleta)副法務大臣は、巨大IT企業による蹂躙から利用者を守るための規制を設ける時が来たと宣言した。
カレタ氏によると、新しい法案により、ユーザーの権利を不当に侵害したソーシャルメディア企業に対し罰則を科することができるようになる。そして法律の運用はポーランドの司法当局にゆだねられる。ソーシャルメディアがユーザーの権利を不当に侵害し、裁判所の判決にも従わない場合、最高で220万ユーロ(約2.7億円)の罰金が科せられる可能性があるという。
ドイツやフランスなどの一部の国では、法律に違反した場合、ソーシャルメディアに数百万ドルの罰金を課す法律がすでに制定されているが、言論の自由を保護するための法的な試みはポーランドが初めてだ。
ユーザーに対する保護
法案が可決されれば、検閲に直面している報道機関やユーザーは法廷で救済を求めることができるようになる。検閲を受けた場合、ユーザーは不当な削除とアカウントの閉鎖に関して異議を申し立てる権利が与えられる。
さらに、ソーシャルメディアは、投稿されたコンテンツがポーランドの法律に違反していなければ、社内の裁量で投稿を削除したり、ユーザーのアカウントをブロックしたりすることはできなくなる。コンテンツを誤って削除された場合や、アカウントがブロックされた場合、ユーザーは異議を申し立てることができ、ソーシャルメディアは48時間以内に解決する必要がある。解決に失敗した場合は、ユーザーは特別に用意された裁判所に訴えることが可能であり、7日以内に審議される。
(翻訳編集・文亮)