テキサス州コロラド市のウインドファームの風力タービン。2016年1月21日撮影(Spencer Platt/Getty Images)

テキサス州で中国人実業家が風力発電所を建設計画 米空軍訓練基地の近くで「安保上の懸念」

テキサス州西部にある米空軍最大のパイロット訓練基地の近くで、風力発電所の建設計画が進んでいる。投資者の中国人富豪は共産党政権や軍とつながりを持っていることから、専門家は同計画に国家安全保障上の問題が生じかねないと危惧している。

新疆ウイグル自治区の実業家・孫広信氏が所有するGHアメリカ投資グループ(GH America Investment Group)は2015年、テキサス州バルベルデ郡で13万エーカー(約526K㎡)の土地を購入した。

総資産19億ドルを保有する新疆屈指の富豪である孫氏は、中国軍の元将校で新疆青年連合会の副主席を務めていた。

香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト2004年の報道は、孫氏を「物議をかもす人」(controversial figure)と「(私利を求める)渡り者」(carpetbagger)と表現した。

孫氏は国有資産を低価格で買収することで巨万の富を築き上げた。同記事によると、彼は新疆の省都ウルムチ市の不動産市場の半分以上を支配していた。

テキサス州の土地の約95%は私有地である。同州は外国人の不動産投資に対する規制がほとんどなく、外国人の土地所有権は原則的に可能だ。

さらに、フォーリンポリシーの記事によると、テキサス州議会が州の電力事業者に、再生可能エネルギー源から電力供給を増やすよう1999年に義務付けて以来、こうした事業を止めるのは困難になったという。

対米外国投資委員会(CFIUS)はこの取引を審査し、風力発電所は「国家安全上の脅威にならない」と結論を出した。

ダラスに拠点を置くヘイマン・キャピタル・マネジメント(Hayman Capital Management)の創業者カイル・バス(Kyle Bass)氏は12月8日、米メディア・フォックス・ビジネスに対し「中国軍の元将校に米国内の土地の購入を許可するのはばかげている」と語った。

GH社は50から130基の風力タービンを建設するため、この土地を取得した。この土地は、空軍最大のパイロット訓練施設であるラフリン空軍基地の近くで、米国とメキシコの国境から数十キロの距離に位置する。

バス氏は2020年12月、この地域を訪れた後、中国がこの土地を所有していることへの懸念をツイートした。

「この土地は、メキシコと米国の国境に位置し、3万平方フィート(約2780㎡)の宿泊施設とプライベート滑走路を備えている。米国当局から監視されず、国境地域から人や貨物を往来させることも可能だ」と彼はツイッターに書いた。

ジョン・コーニン上院議員 (共和党、テキサス州選出) はバス氏のツイートに反応し、CFIUSと国防総省による審査が進行中であると述べた。

「最初の承認は、部分的かつ条件付きの承認にすぎなかった」とバス氏は大紀元英字版に述べ、CFIUSがその決定を覆す可能性はあると信じているという。

また、国際緊急経済権限法に基づき、大統領は国家的な緊急事態を宣言した後、様々な経済取引を規制する広範な権限を与えられているため、この取引を阻止できるという。

中国企業が米の電力網に接続することは重大なサイバーセキュリティの問題を引き起こす。「ライバルは米の電力網に接続すれば、発電機の状態を監視する測定装置に虚偽データを注入するなどのサイバー攻撃が可能になる」と同州選出のウィル・ハード下院議員は同計画について複数回、警告を発した。

7月、コーニン議員とテッド・クルース上院議員 (共和党、テキサス州選出) は、ハード議員とともに、スティーブン・ムニューシン財務長官に、風力発電プロジェクトへの懸念を表明する書簡を送った。

「この施設には、将来のF-35およびB-21パイロットを中心とする空軍パイロットの訓練場がある。この地域に中国共産党と密接な関係にあるプロジェクトは、われわれの競争力と国家安全保障を脅かす可能性がある」とCFIUSにこの問題を再検討するよう促した。

「米政府内は、この問題を解決する必要があるという意見で一致している」とバス氏は述べた。

ハード議員は2020年6月、現地紙サンアントニオ・エクスプレスニュースに対して「米国企業は中国に行って、中国の軍事施設の近くの土地を買うことはできない。しかし、なぜ中国共産党の指導者と関係が強い中国企業は、米国でこのことができるのか」と疑問を呈した。

 

元CIA幹部のダニエル・N・ホフマン氏はワシントン・タイムズ紙(2020年8月14日付)に、「GH社は再生可能エネルギー事業を隠れ蓑にして、中国共産党のためにスパイ活動するだろう」と指摘している。

(大紀元日本ウェブ編集部)

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