プロジェクト・ベリタス、CNN編集会議の録音音声を公開 トランプ氏に政権移行強要を議論

非営利団体(NPO)の米調査報道、プロジェクト・ベリタス(Project Veritas)の創設者であるジェームズ・オキーフ(James O’Keefe)氏は12月1日、同氏が入手した過去2カ月の米メディアCNN編集会議録音テープを、今後順次公開していくと表明した。

同氏が同日公開した最初の録音テープでは、CNNの編集部幹部とジェフ・ザッカー(Jeff Zucker)社長らが、トランプ大統領に政権移行を強いる方法について議論していた。

「トランプ氏が正常ではない」

CNN特派員のジェイミー・ガンジェル(Jamie Gangel)氏は会議中、共和党と民主党の両サイドから得た情報を紹介し、CNNは投票不正に関するトランプ陣営の取り組みを報道しないほうがいいと提案した。

ガンジェル氏は「私は、先ほどマイクが話したトランプ氏の(政権)移行について強調したい。(中略)われわれは報道機関として、非常に気を付けなければならない。(投票結果を)認めないトランプ氏にプラットフォームを多く与えないことに責任を持つべきだ」などと述べた。

これに対して、ザッカー社長は「同意する」と述べた。

また、CNN司会者兼記者のステファニー・ベッカー(Stephanie Becker)氏は、「9・11委員会報告書(9・11 Commisson Report)はこの問題、つまり政権移行のトラブルについて記述している。(中略)政権移行がうまく行かなくなると、どうなるかを見てください。ツインタワーを見てください」と話した。

ザッカー社長はベッカー氏の意見に同調し、「昨日、議論された国家安全問題に関係することだ、私はもう一度これを話し合う必要があると思う。9・11委員会報告について、皆さんに政権移行が今回もうまく行かなかった場合のことについて意見を出してほしい」と言った。

9・11委員会報告書は、2001年9月11日米国で起きた同時多発テロ事件について、与野党の調査委員会によって作成された。同報告書は、2000年の大統領選挙後、クリントン政権とブッシュ政権への政権移行が遅延したため、ブッシュ新政府の政策制定や他の活動に遅れが生じたことが背景にあると指摘した。「政権移行期間」は、政府官僚が入れ替わり、国家の機能が弱い時期であるため、国家安全保障にリスクをもたらすという。

CNNは11月10日、「トランプの政権交代の遅れが国家安全保障と治安をどのように脅かすか(How Trump’s transition of power delay threatens national security and public safety)」とのタイトルの記事を掲載した。記事は、「トランプ大統領は、できる限り次期大統領のバイデン氏のホワイトハウスへの移行を妨害し、遅らせている」と主張し、「9・11委員会報告書によると、2000年の大統領選挙で当選したブッシュ氏は、政権移行が遅れたため、国家安全保障チームの立ち上げを遅らせた。これが2001年9月11日テロ攻撃が起きた要因の一つだ」とした。

また、オキーフ氏が1日夜、公開した2本目の録音テープでは、CNNのザッカー社長は編集幹部に対して、トランプ大統領について、「正常な人」として報道してはいけないと指示した。この10月9日に開催された電話会議で、ザッカー社長は、トランプ大統領が「絶望した」「病的だ」「負けた」「彼は時間が経つにつれ、ますます狂った」などを報道するよう要求した。

別の録音テープの中で、ザッカー社長は、バイデン氏らの金銭疑惑については報道しないよう、編集チームに命令した。

CNNの社長が激怒

ジャーナリストのマイク・ミラー氏(Mike Miller)氏は1日、政治ブログサイト「RedState.com」に、オキーフ氏の話を引用し投稿した。

オキーフ氏はミラー氏に対して、1日の朝、自身がCNNのザッカー社長に直接電話をかけたと明かした。電話の中で、オキーフ氏は「われわれはほぼ2カ月、CNN内部の電話会議を聞いており、ほぼ全部録音した。時間があれば、社長にいくつかの質問をしたい」と切り込んだ。同氏は、「社長、今も、CNNが最も信用されているメディアと思うか?なぜなら、私が聞いたこれらの電話会議では、あなたたちは独立したメディアではないと言わざるを得ない」と述べた。

これに対して、ザッカー社長は驚いた様子で「電話、ありがとうございます。(中略)後で折り返しの電話をします」と電話を切った。

CNNの内部情報では、ザッカー社長が直ちに電話会議を中止した。社長は「あの野郎のオキーフがどうやって私たちの電話会議の録音を入手したのか?2カ月も!」と激怒した。

CNNは、プロジェクト・ベリタスに対して法的措置を講じると示した。オキーフ氏が1日夜、米フォックスニュースの取材に対して、「訴訟には動じない。われわれプロジェクト・ベリタスは今まで、すべての訴訟に勝った」「より多くのメディア関係者に暴露してほしい」と述べた。同氏はまた、「CNNは米国民に謝罪すべきだ」とした。

 

(翻訳編集・張哲)

関連記事
「孔子学院?新華社?こんなものはもう退屈だろう。中国が本当に世界的なソフトパワー拡大には、モバイルゲームに焦点を当てるべきだ」中国国内メディアは最近、100億米ドル規模に達している中国ゲームの影響力の高まりに自信を見せている。当局は、ゲームコンテンツを通じて中国文化の浸透工作や、親共産主義人物の人気獲得を促進したりしている。
日本料理の「五味五色」が生む健康の秘密。陰陽五行に基づく養生観が、日本人の長寿とバランスの取れた食文化を支えています。
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。