イメージ写真。2020年3月6日、シアトルのワシントン大学で対面授業の最終日を迎えたキャンパスの様子(Karen Ducey/Getty Images)

中国情報機関、留学生にスパイ行為を強要、国内の親族にも脅迫

中国当局は、海外の中国人留学生の言論を監視しているだけでなく、中国国内にいる家族を脅迫し、留学生らに海外でスパイ活動を行うよう強要している。

米ボイス・オフ・アメリカ(VOA)は10月30日、米国に留学中の李陶陶さん(仮名)を密着取材した。VOAの30日付によると、20代の李さんは今年初め、インターネット上で、中国共産党政権を批判する投稿を実名で発表した。この2週間後、中国情報機関の1つ、公安部(省)国内安全保安局国保)の職員は李さんの両親を頻繁に警察署に呼び出し、SNS微信(ウィーチャット)を使って息子とテレビ電話させた。

李さんは、国保の悪行を暴く気持ちは強いが、「両親にもう迷惑をかけたくない」と述べた。国保は李さんの両親が出国できないように、パスポートを没収した。

6月に入ってから、李さんはいつも米国時間の午前2時、3時頃に、国内地元の国保の職員からのテレビ電話に出なければならない。

テレビ電話で、職員は李さんのツイッターなどのSNSのアカウント情報を要求し、「中国にとって不利益な発言をしてはいけない」と命令した。李さんは、SNSを通じて中国国内の民主化運動について他のユーザーとグループチャットしていた。

職員はさらに「グループチャットにわが党とわが国にとって不利益な情報があれば、いつでも転送してほしい」と話を続けた。

職員は、李さんにスパイ行為を働かせることを「罪滅ぼしに手柄を立てる」と表現している。これに対して、李さんは「私がどんな罪を犯したか彼らは一度も説明したことがない。ただ単に、『反中』、『国家を侮辱した』と繰り返すだけだった」とした。

中国の情報機関による海外にいる民主活動家などへの監視や嫌がらせは絶えない。中国国内にいる親族を巻き込むのは共産党政権の常套手段だ。今年に入ってから、VOAは米国や豪州に留学中の中国人学生5人を取材した。5人の親いずれも当局からの脅しを受けた。

米ウィスコンシン大学ロースクールの中国人学生、吉家宝さんの両親も、天津市国保当局から複数回、恫喝を受けた。吉さんは今年、中国国内の民主化運動を推進する海外組織「青年憲政会」の設立に参加した。国保当局は、吉さんがネット上の言論を削除しなければ、両親は職を失うと脅迫した。

豪州に亡命した中国の元外交官、陳用林さんによれば、2018年以降、中国当局が経費不足を理由に、各省・市の国保当局に対して海外の反体制活動家や留学生を監視するよう指示した。

一方、米政府は28日、中国共産党の配下にある「中国平和統一促進会」の在米組織、「ワシントン中国平和統一促進会(NACPU)」を「外交使節団」に指定した。米政府はすでに、中国共産党機関紙「人民日報」を含む報道機関4社と、教育機関・孔子学院を「外交使節団」に認定した。

米誌「ニュースウィーク」は4カ月の調査を経て、26日に記事を発表した。同誌は、米国内の約600の団体が中国共産党と関係しており、「大統領選に介入しようとしている」と指摘した。

(翻訳編集・張哲)

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