菅義偉内閣総理大臣(CARL COURT/POOL/AFP via Getty Images)

主張:日本は中国共産党と「利害一致」してはならない

悪逆な政権と「利害一致」とは、笑止千万だ。

日中両政府は、中共ウイルス(新型コロナウイルス)のまん延で休止となったビジネス目的の往来を再開することで調整に入っている。加藤勝信官房長官は10月20日の記者会見で、中国との往来再開で「経済交流が回復軌道に乗ることは大変重要だ」と述べた。この動きを受けて、一部のメディアは、日中両国は経済的にも政治的にも「利害一致している」と主張した。

どうして日本が、法輪功学習者、キリスト教徒、チベット人、ウイグル人、香港市民を迫害し、中国国民を残酷に鎮圧し、インドやネパールの国境紛争を悪化させ、米国や欧州の知的財産を盗用する中国共産党政権と「利害一致」するのだろうか。

中国語の四字熟語には「助紂為虐」という言葉がある。紂とは、殷の最後の王である帝辛で、明代の小説「封神演義」の重要登場人物の紂王である。この言葉は、紂王や妲己のような悪名高い悪人を助けて、さらなる悪事を重ねる人を指すときに使われる。

人生の半分以上を日本で暮らす筆者にとって、日本は第二の故郷だ。だから、日本政府や企業に、「助紂為虐」のようなことをしてほしくない。政権を暴力的な手法で奪取したならず者政権の肩を持ってほしくない。中華民国の建国の父、孫文氏を長年支援した日本人実業家である梅屋庄吉氏のように、日本は、平和と安寧を愛する人々のために、中国共産党から離れる人々を支援することができる。

日本を含む海外企業が、今の共産党体制の中国に投資すれば、国内中国人やチベット人らへの弾圧に協力し、世界各国でのスパイ活動、東シナ海などでの軍事活動を応援しているのに等しいと言える。

すでに先例がある。中国問題グローバル研究所の遠藤誉所長の著書『毛沢東 日本軍と共謀した男』を引用したい。日中戦争のさなか、毛沢東率いる中国共産党のスパイは、日本に蒋介石と国民党軍の情報を売り渡していたという。

毛沢東は、国民党軍が日本軍との戦いに疲弊して弱体化することを狙った。毛沢東の狙い通り、共産党は国共内戦で政権を奪うことに成功した。遠藤所長は著書で、当時の日中戦争は事実上、「共産党政権樹立の手助けになった」との見解を示した。中国共産党は「反日」を外交カードにしたり、政権維持の材料にしたりして、日本に「戦勝」の恩を仇で返している。

中国との経済活動は非常に重要で、日本を含む多くの外国企業は中国市場で利益を得てきた。しかし、無印良品が商標権をめぐって中国企業に敗訴したように、中国企業と司法は独善的で公平性はなく、知的財産には無配慮である。このような姿勢に損を被り、泣き寝入りする日本企業も少なくないのではないだろうか。

中国国家統計局は19日、7~9月期の国内総生産は年率換算で、前年同期比4.9%増と発表した。筆者は、日本の各メディアが中国のデータをそっくりそのまま報道し、中国経済の速い回復を称賛したことに違和感を覚えた。

中国人ですら当局の統計を信用していない。筆者の父は、15歳の時に共産党に入党し、60年以上の党齢を持つ党幹部だった。小学生低学年の時、国営企業に勤めていた父が党務報告会議から帰宅すると、ため息をついて「今日の会議で、上司がまた嘘の話をしていたよ」と母親に言ったことは、いまだに印象に残っている。両親から党の言うことを信じてはいけないと教わった。

米国トランプ政権の働きで、今は世界のサプライチェーンの再構築が進んでいる。各国の企業が「中国リスク」を強く意識して、生産拠点を東南アジアなどへ移転している。日本企業もまた、政府が補助金を捻出するなどして脱中国を進めているが、ぜひともこの流れを加速させてほしい。

中国共産党のいない14億人の中国市場こそ、低リスクで、投資に値するのだ。

(文・張哲)

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