中国軍、南シナ海で死傷者救助演習を実施へ、軍事衝突への備えか
大紀元が入手した中国海南省政府の内部文書によると、中国軍は10月20日から22日までの日程で、南シナ海で、軍事衝突による負傷者の海上救助演習を実施する予定。一方、米海軍は10月7日、同海域で「大量死傷者演習(Mass Casualty Drill)」を行った。南シナ海における米中間の緊張感が一段と高まっている。
海南省政府は9月、国家発展改革委員会の指示を受け、「十四五(第14次5カ年計画、2021年から2025年まで)における海南省の改革開放深化および自由貿易港建設に関する中央政府予算内の投資プロジェクトリスト」を制定した。
情報筋はこの内部文書の一部である「十四五自由貿易港重大計画項目報告リスト」を大紀元に提供した。これによると、中国当局は海南省で、「国家海上緊急医学救援基地と国家航空医学救援基地」を建設する計画だ。建設の目的は「陸上基地の海上医療ネットワーク、海上医療救助隊の機動力、海上救急医療救助基地の支援プラットフォーム、陸・海・空の傷病者治療・搬送システムを構築するためだ」という。
文書は同プロジェクトの立ち上げについて、2018年4月13日、習近平国家主席が海南省を視察した際に行った重要演説に基づいているとした。当時、習氏は「海南省での海上救援基地の建設を重要任務にすべきだ」と話した。内部文書は、同基地の設置で、「救急医療救護能力を総合的に向上させ、南シナ海での権利主張と突発事態をめぐる衛生上の緊急対応に積極的に備える」とした。
また、文書は、同基地の建設の進展について、2019年8月18日「三沙2号医療保障船」が運航し始めたなどを挙げた。中国メディアによると、この総排水量8000トンの「三沙2号」は、海南省三沙市で建造された2隻目の交通補給船だ。
今年8月、同省衛生健康委員会と解放軍総医院の海南医院が、「南シナ海方面における緊急医療救援能力を検証するため」、「三沙2号」の演習計画を制定した。演習では、解放軍総医院海南医院が司令部からの命令を受けた後、迅速に38人の医療チームを「三沙2号」に派遣し、ともに医療救助任務を行う。
同演習は、2020年10月20日午前9時から正午12時までと予定されている。天候などで延期される場合、「10月22日午前9時から正午12時までとする」。
大紀元コメンテーター、李林一氏は、南シナ海で軍事的な緊張が高まっている中、中国側が海上救援基地の建設と救助演習を推し進めるには「下心がある」と批判した。
「文書は『南シナ海での権利主張と突発事態』を言及した。明らかに、同海域で今後、軍事的衝突が起きる可能性が大きいと中国当局が示唆している。この『三沙2号』の演習は、この軍事衝突への備えだ」
また、海南省衛生健康委員会は、海難救助訓練に特化したスライドショー、「2020年南シナ海西沙諸島における国家海上救急医療救助特別演習」を制作した。
スライドは、訓練の時間と場所、訓練の組織機構、訓練に関与する部隊、任務配置、危険状況のシミュレーション、および訓練の主題と操作手順を示している。
一方、南シナ海地域において、米軍用機や艦隊の活動を活発化している。米軍は同海域で軍事演習を相次いで実施している。
米太平洋艦隊は10月9日、米原子力空母「ロナルド・レーガン」が7日に南シナ海で「大量死傷者演習」を実施し、艦内で大量の死傷者が出た場合の対応を訓練したと発表した。
米国防総省が公開した写真では、「ロナルド・レーガン」の飛行甲板に、複数の救助装置が配置され、空母の乗組員が担架に横たわり「患者」を扮し、他の乗組員が「患者」を移動し救助を行う様子がある。
国防総省によると、「ロナルド・レーガン」は昨年から、インド洋や太平洋の海域で、大量死傷者演習を複数回実施した。今年5月13日、南シナ海に隣接するフィリピン海で同演習を行った。
李林一氏は、「米軍側も、南シナ海で中国軍との武力衝突をにらんで、死傷者救助演習を行っただろう」と話した。
(翻訳編集・張哲)