国連で中国の人権侵害を非難する声明 ドイツ主導、日本など39カ国が署名
ドイツの国連大使は米国、英国、日本を含む39カ国を代表して、中国の人権問題を批判する声明を発表した。39カ国は、ウイグル人およびチベット人の権利を尊重するよう求め、香港の政治状況への懸念を表明した。
10月6日に国連で開かれた人権会議で「新疆ウイグル自治区の人権状況および最近の香港の動きに深刻な懸念を表明する」と、ドイツの国連大使クリストフ・ホイスゲン氏は述べた。
ホイスゲン氏は中国に対して、100万人が収容されている新疆ウイグル自治区の「職業技能訓練センター」と称する収容施設に、国連人権査察団が「直接的で意味のある自由なアクセス」を求めた。
声明は新疆における人権侵害の問題として、宗教に対する厳しい制限、広範な非人道的な監視システム、強制労働、非自発的な不妊手術を取り上げた。
声明に署名した39カ国のうち、ほとんどはEU加盟国である。ほかに日本、カナダ、ハイチ、ホンジュラス、オーストラリア、ニュージーランドが含まれる。2019年にイギリスが起草した同様の文書には、署名国は23だったため、16カ国増加した。
声明はまた、7月に中国共産党政権が香港で国家安全維持法を施行後、政治的抑圧が強まっていることについても非難した。39カ国は、中国政府が香港住民の権利と自由を守るよう要求した。
さらに、チベットにおける人権侵害についても言及した。チベットにも、新疆同様の強制労働施設が設置されているとの報告がある。
中国は最近、自国に批判的な国に執拗な脅迫と威嚇を行っている。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は、それでも多くの国が今年の宣言に署名したと指摘した。
HRWの国連担当ディレクター、ルイ・シャルボノー氏は、各国政府は「国連に対し、中国の人権侵害を監視するための国際機構を設立するよう求める」と主張した。
これらの39カ国の外交官らは、国連加盟国が中国の人権侵害を批判する声明に署名することを止めさせるために、中国は圧力や恫喝を強めていると指摘している。
中国の張軍国連大使は、ただちに「事実無根」と反論した。「彼らは虚偽の情報と政治的なウイルスを拡散し、中国を汚し、中国の内政に干渉した。中国は断固としてそれに反対し、拒否している」と述べた。
その後、キューバなど45カ国は中国共産党の新疆ウイグル自治区政策を支持する声明を発表した。ロシア、シリア、ベネズエラなどが名を連ねた。
ルイ・シャルボノー氏は、署名したのは独裁政権国や人権侵害国が多いと指摘した。
豪シンクタンク・オーストラリア戦略政策研究所は9月、新疆では2017年以降に新設や拡張された収容施設が380以上あるとの報告を公表した。
米国では、新疆からの輸入禁止を目的とした法案が9月末に下院で可決された。法案は、ウイグル人への虐待は蔓延しており、同地域からのすべての商品は奴隷労働で作られていると考えるべきだと主張した。米国は他にも、新疆での監視や人権侵害に関わる中国企業を取引禁止リストに載せている。
(翻訳編集・佐渡道世)