内藤陽介コラム
中国の浸透工作進む南太平洋 日本人が忘れかけた「ガダルカナル」で何が起きているのか
いまから約1年前の2019年9月16日、南太平洋の島国、ソロモン諸島が台湾と断交し、中国と国交を樹立した。ソロモン諸島という国名にはなじみがなくても、同国の最大の島がかつての激戦地、ガダルカナル島だといえば、多くの日本人にとってもイメージしやすいのではないかと思う。
2016年、台湾で蔡英文政権が発足すると、中国は台湾への圧力を強めるためにも、オセアニア地域で台湾と国交のある国々の切り崩し工作を本格的に開始した。当時、オセアニア14カ国のうち、台湾と国交があったのは、キリバス、ソロモン諸島、ツバル、パラオ、マーシャル諸島、ナウルの6ヵ国で、中国が国交を結んでいた8カ国。国の数でいえば、ほぼ互角だった。これに対して、現在はキリバスとソロモン諸島が台湾と断交したので、台湾と国交がある国は4、中国と国交がある国は10と中国の存在感が高まっている。
もっとも、2016年の時点で、すでに、フィジー、バヌアツ、パプアニューギニアが親中国家として取り込まれていたことを見逃してはなるまい。
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