写真は2019年12月、中国浙江省の教会で執り行われたミサの一幕(GettyImages)

米国務長官、バチカンに警戒促す「中国共産党は神を従わせようとしている」

マイク・ポンペオ国務長官は9月18日、バチカンローマ法王庁に対し、米国と協力して信教の自由を保護し、中国のカトリック教徒や香港の人々とともに立ち上がるよう呼びかけた。米国の民間非営利団体(NPO)が運営する信仰と教育のメディア「ファースト・シングス(First Things)」の寄稿文でその考えを示した。

中国とキリスト教カトリックの総本山バチカン(ローマ法王庁)の司教任命権をめぐり双方の協議が続いている。このなかで、ポンペオ国務長官は「神を党に従わせて、習近平氏を超俗的な神としてまつりあげようとする中国共産党の下で、信教の自由などありえない」と指摘した。

バチカンの外交官は現在、中国のカトリック司教を任命するために結んだ2018年の秘密協定を再交渉するために、中国当局と会談している。

中国共産党は神を党に従わせて、習近平氏を超俗的な神にまつりあげようとしている

「ファースト・シングス」は、1989年に設立した超党派のNPO「宗教と公共生活研究所」により創刊されている。ポンペオ氏による「中国のカトリック教徒と教会による道徳の証言」と題した寄稿文は18日に発表された。

ポンペオ氏は、「習近平氏の権威主義的な統治の下で、中国の人権状況はかなり悪化しており、特に宗教信者にとっては非常に深刻な状態だ」とし、中国の信仰者は今まで以上にバチカンの道徳の証言と権威を精神支援のために必要としていると語った。

「信頼できる報道によると、中国共産党は新疆イスラム教徒に対しては強制絶育化と堕胎政策を実施し、またカトリック司祭や修道者への迫害、プロテスタントの教会を攻撃している」「これらはすべて、神を党に従わせて、習近平氏を超俗的な神として祭り上げようとする『中国化(Chinalization;Sinicization)』運動の一部である」

「バチカンの当初の意図は、司教の任命について共産党と合意に達することで中国のカトリック教徒の状況を改善しようというものだ。しかし、現実は正反対だ」「2年経った今、中国とバチカンの合意が共産党の略奪からカトリック教徒を救えないことは明らかだ。キリスト教徒、チベット仏教徒、法輪功学習者および他の宗教の信者に対する党の残酷な扱いは言うまでもない」とポンペオ氏は指摘した。

ポンペオ氏は、「中国当局が香港で『国安法』を強行する時も香港のカトリック教徒を威嚇および鎮圧した」とし、「香港人の尊厳と人権を最も声高に主張する人は通常はカトリック教徒で、例えば香港民主主義の父と呼ばれる李柱銘(マーティン・リー)氏や、民主主義を推進するメディア王の黎智英(ジミー・ライ)氏などのカトリック教徒は、香港の基本的な権利を守るために中国共産党に逮捕され、監視され、嫌がらせを受けた」と書いた。

「私は個人的に二人とも知っており、彼らの善良と誠実さを証明できる。彼らは神や、神の子どもたち、そして一つの平和と自由、繁栄した中国への貢献は多大なものだ」と同氏は述べた。

バチカンは「イエスの教え」に耳を傾けなければならない

ポンペオ氏はさらに、「昨年、中国共産党による新疆ウイグル族の少数民族への大規模な拘束を非難する書簡を22カ国が共同で国連人権委員会に送付した」ことについても言及した。米国は、他の多くの国々と同じで、中国共産党による信教の自由を含む人権侵害の加速に対して憤慨の意を表明すると述べた。

同氏は「20世紀後半、教会の道徳的証言の力は、共産主義から解放された中欧や東欧の人々、またラテンアメリカと東アジアの独裁政権や権威主義体制に挑戦した人々を奮い立たせた」

「バチカンには人権侵害の問題へ世界の注意を向けられる独特な能力と責任を持っており、特に北京のような全体主義体制による人権侵害を阻止する責任がある」とし、「今日、中国共産党に直面して、(バチカンは)同じ道徳的な証言の力を使うべきだ」と指摘した。

ポンペオ氏はまた、「全体主義は暗闇と沈黙の中でしか存在できないことを、歴史が教えてくれた。(そこでは)その罪と残酷な行為が注目と重視を得られなかったからだ」とし、「もし中国共産党がカトリック教会や他の宗教団体を屈服させることに成功すれば、人権を無視する(他の)体制はより大胆になるだろう。そして、独裁者ではなく神を崇拝する勇敢な信者にとっては、専制暴政に抵抗するための代価が増加するだけだ」と述べた。

「中国共産党に対処するとき、バチカンや神聖なる光が生命を照らすと信じているすべての人々がヨハネの福音書にあるイエスの言葉『真理がわれらを自由にする』に耳を傾けることを祈る」と同氏は締めくくった。

(大紀元日本語ウェブ)

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